【ワイン旅】連載アーカイブはこちら
【ワイン旅】銘醸地を巡る!フランス7日間の旅 <準備編>
【ワイン旅】銘醸地を巡る!フランス7日間の旅 <前編>
【ワイン旅】銘醸地を巡る!フランス7日間の旅 <後編> – 公開予定 –
前回の<準備編>では、フランスでのワイン旅に向けての事前準備をご紹介させていただきました。
今回の記事では、旅の前半で訪れたブルゴーニュとアルザスのできごとをふりかえります。この地を訪れたいと思う方々の参考になれば幸いです。
POINT
ブルゴーニュってどんな場所?
本題に入る前に、そもそもブルゴーニュとはどんな場所でどのようなワインがつくられているのか、簡単にご紹介させていただきます(言われなくても知っているよ! という方は読み飛ばしてくださいね)。
ワインに詳しくない方でも、ブルゴーニュといえばワインで有名な土地ということは、なんとなく聞いたことがあるのではないかと思います。ブルゴーニュについて詳しく説明した書籍や記事はたくさんありますので、ここでは3つのポイントに沿ってごくごく簡単にご紹介させていただきます。
① ピノ・ノワールとシャルドネ
ブルゴーニュのワイン用ぶどう品種といえば、ピノ・ノワールとシャルドネ。同じくフランス最高峰のワイン銘醸地であるボルドーが、複数のぶどう品種を組み合わせて(アッサンブラージュ)つくられるのに対し、ブルゴーニュのワインは一部の例外を除いて、赤ワインならピノ・ノワール、白ワインであればシャルドネと、単一品種からつくられるのが特徴です。
テロワールの多様性を活かし、単一品種にも関わらず非常に多彩なワインが生み出されるため、ワイン愛好家にとって興味のつきない偉大なワイン銘醸地として愛されています。
② 世界遺産・ブルゴーニュのクリマ
2015年に、ユネスコ世界遺産に登録された「ブルゴーニュのクリマ」。「クリマ」とは、ぶどう畑の区画で、自然環境によりそこでつくられるワインに特別な個性が生まれる土地を指します。
ブルゴーニュは歴史的に修道士によるワインづくりがさかんで、神に捧げるためのより上質なワインづくりのため、修道士たちが長年に渡りそれぞれの土地の個性を研究し、良い「クリマ」を識別してきました。この、土地の個性を活かしたワインづくりは現代にまで引き継がれており、その歴史を紡いできたことが評価されて世界遺産に登録されるまでになったのです。
③ 5+1の地区
ブルゴーニュ地方は北から順に「シャブリ地区」、「コート・ド・ニュイ地区」、「コート・ド・ボーヌ地区」(両地区を合わせて「コート・ドール(黄金の丘)」と呼ばれます)、「コート・シャロネーズ地区」、「マコネ地区」の5つに分かれます。
さらに、「ボージョレ・ヌーヴォー」で知られた「ボージョレ地区」も南側に広がっていますが、こちらは土地との相性の良さから、ピノ・ノワールではなく「ガメイ」という黒ぶどうがメインで育てられており、歴史的な背景もブルゴーニュの他の地区とは異なります。
これらの地区より、今回の旅では、赤ワインが有名な「コート・ド・ニュイ地区」の中でも特に名高い「ジュヴレ・シャンベルタン村」と「ヴォーヌ・ロマネ村」。白ワインが有名な「コート・ド・ボーヌ地区」の中でもやはり名高い「シャサーニュ・モンラッシェ村」を訪れます。
ワイン旅1~2日目 ―ブルゴーニュ
1日目は東京~ディジョンまで一気に移動!
羽田空港から約12時間半。
パリ、シャルルドゴール空港に到着した筆者は、そのままブルゴーニュの中心地・ディジョンを目指し、待ち時間を空港でつぶしたのちTGVでさらに2時間ほど電車の旅を続けました。
あいにくこの日は夜まで雨。ディジョンの駅について午後10時ごろはバスも終了しており、Uberも見つけられなかったので、真っ暗な駅前で仕方なくタクシー乗り場に並ぶことになりました。
旅慣れた友人と一緒とはいえ、このときは
「さすがに行程を無理やり詰め込みすぎたか…」
とちょっと後悔しました。お時間に余裕があれば、パリに一泊した後などに移動されることをおすすめします…(ところで、フランスは駅のキオスクなども含めどこでもクレジットカードが使えて便利なのですが、タクシーは現金支払いのみのということもあるようなので、最低限の現金の両替もおすすめします)。
長旅と雨でへとへとになりながらも、ようやくホテルに到着。

(テーブルにミニキッチン、簡単な調理道具もついている便利なお部屋でした)
翌日からのワイン三昧の旅に胸を躍らせ…る間もなく眠りに落ちていきました。
2日目はブルゴーニュを堪能する贅沢な一日
翌日、目を覚まし、カーテンを開けると…

タイムスリップしたかと思うほど、伝統的な美しい街並みが広がっています!
夜中に到着したときは真っ暗で何も見えなかったので、突然目の前に現れた風景に、
「ああ、本当にフランスに、ブルゴーニュに来たんだなぁ…!」
と、言葉にならないほど嬉しく思いました。
この日は事前に予約した、現地在住の日本人の方にドメーヌを案内していただける日だったため、待ち合わせ場所のディジョン駅まで向かいます。その道々で目に入る建物も風景も、すべてが美しく、恥も外聞も捨てて写真を撮りまくります。

(映画館。こんな映画館が近所にあったら毎日でも通いたい…)

(凱旋門)

(朝食は、日本でもおなじみPaulにて。フランスではどの駅でも見かけるほど人気でした!)
ガイドの方と無事合流できた後、一行は車でブルゴーニュを代表する村々、すなわち“ジュヴレ・シャンベルタン村” “ヴォーヌ・ロマネ村” そして“シャサーニュ・モンラッシェ村”へと向かいます!

(車にて移動中。ディジョンの街を一歩出ると、一面のぶどう畑が広がります)
➤ジュヴレ・シャンベルタン村へ
この日、最初の訪問ドメーヌはPhilippe Leclerc。
試飲用のスペースはさながら博物館のように、年代物の品々が所狭しと並んでいます。


こちらでは5種類の試飲をさせていただきました。

(うっかり1種類撮り忘れています…)
① Gevrey-Chambertin Les Platieres 2016年
② Gevrey‐Chambertin En Champs 2014年
③ Gevrey-Chambertin 1er Cru ‘Les Cazetiers’ 2015年
④ Gevrey-Chambertin 1er Cru ‘Les Cazetiers’ 2013年
⑤ Gevrey-Chambertin 1er Cru ‘Les Combe’ 2012年
いずれも同じ生産者によるワインで、品種ももちろんピノ・ノワールなのですが、いざ試飲してみると…畑の違いやヴィンテージ(ぶどうの生産年)によって、
「こんなにも違うものか!」
と面白いほど個性の違いが感じられます。
試飲の際には、写真のようなジュヴレ・シャンベルタン村の畑の細かい地図を見せてもらい、プルミエ・クリュの畑とそれ以外の畑のワインの実力の違いを実感しながら試飲することができました。
明らかに違うのは、香りの複雑さ! 私は質の高いピノ・ノワールの、赤い果実系の香りやスミレのような冷たい花の香り、それに動物的なニュアンスが加わった香りが大好きなのですが、⑤のワインからはそういった複雑な香りが感じられて、いつまでもいつまでも香りを味わっていたい気持ちになりました…。

(細分化されたぶどう畑の地図)

(拡大図。赤い部分はプルミエ・クリュ、つまりより質の高いぶどう畑です)
また、③と④のように、同じ畑のヴィンテージ違いも試飲させていただきました。③の2015年はブルゴーニュの当たり年と言われており、今が飲み頃か、もう少し熟成させた方がよいヴィンテージ。一方の④の2013年は気温の低い年で雨も多かったことから収穫量が低く、凝縮度が高くタンニンが強め。長期熟成にはあまり向かず、タンニンがなめらかになるまで少し待ちつつ早めに飲んだ方がおすすめなヴィンテージ…と、飲み頃にも違いがあります。
ちなみに、ブルゴーニュワイン委員会の公式HPには、地区とヴィンテージをインプットすると、そのワインの飲み頃を教えてくれる便利なメニューがあります。
残念ながら日本語版は正しく表示されないようですが、英語版で検索すると、③のGEVREY-CHAMBERTIN 1ER CRU rougeの2015年は「To be kept」(まだ飲まずにキープしておくこと)、④の2013年は「Ready for drinking. At their peak in 2019」(飲む準備はできた。2019年がピーク)と説明されます。
手元にちょっと良いブルゴーニュワインがあるけど飲み頃がいつかわからない! という方はぜひご活用ください!
➤ヴォーヌ・ロマネ村へ
次は、世界最高峰の赤ワイン「ロマネ・コンティ」をはじめ、名高いワインを算出するヴォーヌ・ロマネ村で移動しました。
訪れたのは、19世紀から続くドメーヌMichel Noëllat。


(お向かいには、ヴォーヌ・ロマネ村でも最高の畑のひとつと言われる1級畑、「クロ・デ・レア」も見えます)
昔使われていたという地下の試飲ルームを通って…

ワイン樽の貯蔵庫へ。ひんやりとした空気とワインの香りで、立っているだけでも酔っ払いそうです…。

樽を見ていくと、ある樽には「Chambolle Musigny(シャンボール・ミュジニー村)」の表記が。

あれ? ここはヴォーヌ・ロマネ村では? と思って質問してみると、代々続くドメーヌなだけに、ブルゴーニュの他の村のワイナリーとも姻戚関係があり、ヴォーヌ・ロマネ村以外の村で収穫されたぶどうを使ったワインも製造しているとのこと。なるほど!

(店舗兼試飲スペース。各ドメーヌこだわりの内装が見られるのも旅の醍醐味です)
さて、こちらでは6種類の試飲をさせていただきました。
① Chambolle-Musigny 2017年
② Vosne-Romanée 2017年
③ Nuits-Saint-Georges 2017年
④ Les Suchots Vosne-Romanée 1er Cru 2017年
⑤ Les Beaux Monts Vosne-Romanée 1er Cru 2017年
⑥ Clos de Vougeot Grand Cru 2017年
いずれもヴィンテージは2017年で、村の違い、畑の格付けの違いを体感することができました。
特に、衝撃を受けたのが⑥のクロ・ド・ヴージョのワイン。ご覧の通り、ブルゴーニュが世界に誇る最高峰のGrand Cru(グラン・クリュ)のワインです。

クロ・ド・ヴージョは、約50 haと非常に広い畑で、斜面により約4 mの標高差があり、畑の所有者も80以上に分かれるため、同じ畑のワインでも物によって質が大きく異なり、選ぶのが難しいワインです。
しかし今回試飲させていただいたこちらのワインは、全く雑味がなく、甘み・酸味・タンニンのバランスが良く、スワリングをして時間をかけるほど、香りの変化を楽しむことができる素晴らしいワインでした。
一緒に行った友人はあまりピノ・ノワールが好きではないと言っていたのですが、このワインは
「美味しい!」
と気に入ったようで、上質なワインは好みの違いも越えて美味しく感じられるのだ! と、ワインの世界にますます興味がわいてきました。
試飲後は、移動しながらぶどう畑を見学。こちらはあの! ロマネ・コンティの畑です。

もう少し引いたショット。

ロマネ・コンティの畑はわずか1.8 ha。
この小さな畑から(と言っても、さすがにこの写真に畑全体は収まっていません)から、世界中の愛好家をうならせるワインが生み出されています。
ソムリエの試験では、いかに日当たりのよい斜面にあるぶどう畑かどうかが、ワインづくりの質を左右すると散々勉強しましたが、本当にグラン・クリュの畑はことごとく斜面にあります。
続いてこちらの写真、どこだかおわかりになりますか?
こちら、ソムリエ/ワインエキスパート呼称資格認定試験に臨まれたことがある方であれば間違いなく知っている、「シャサーニュ・モンラッシェ村」と「ピュリニィ・モンラッシェ村」の境界です!

畑は村をまたいで続いているのですが、写真の真ん中の線が村の行政区画の境目になっており、これが試験で頻出するのです。ソムリエ教本には畑の境目は載っているのに村の境目はいまいちちゃんと書かれておらず、どうしてもこの境目がどうなっているのか見たかったのです(地味すぎる夢ですね…)。
ちなみに道路に継ぎ目があるのは、道路を舗装しなおしたかどうかの違いらしく。国は違えどお役所っぽい仕事だなぁと思ってしまいました。
➤シャサーニュ・モンラッシェ村へ
いよいよこの日最後の試飲へ。

こちらでは、生産者による協同組合の建物内で試飲ができたため、複数のドメーヌのワインを試飲させていただきました。
① Saint-Aubin 1er Cru En Remilly 2017
② Chassagne-Montrachet 2015
③ Viellies Vignes Chassagne-Montrachet Rouge 2017
④ Chassagne-Montrachet 1er Cru ‘Clos Saint Jean’
実はシャルドネを普段あまり飲まない筆者ですが、こちらのクロ・サン・ジャックのワインは蜜のような豊かで密度の濃い香りにうっとりしました。

一方、注目したいのがこちらの③ Viellies Vignes Chassagne-Montrachet Rouge 2017。シャサーニュ・モンラッシェと言えば白ワインが有名ですが、こちらはピノ・ノワールを使った赤ワインなのです。

実はシャサーニュ・モンラッシェ村には元々ピノ・ノワールの樹も少なからず植えられていたそうなのですが、80~90年代のアメリカでのブルゴーニュの白ワインブームがあった時期に、樹の植え替えの時期にあたった畑はほとんどシャルドネに植え替えられたそうで、今残っている樹はたまたまその流れを逃れたものだそうです。そのため、樹齢が非常に長く、平均で40年前後とのこと。
樹齢の長い樹はその分収穫量が落ちるため、凝縮度が高く実は良質な赤ワインが生み出されている場所でもあるそうです。日本に輸入される量は、同地の白ワインと比べ少なくはありますが、あえてシャサーニュ・モンラッシェ村のピノ・ノワールを探すのも楽しいかもしれません!
➤(おまけ)ディジョンの街へ
ワイナリー巡り後は、ディジョンの街の散策へ。小さな街ではありますが、非常に美しく、お店も街の方々も洗練されたセンスを感じ、とても居心地の良い街でした。

フランスではカルーゼル(carrousel)と呼ばれるメリーゴーランド。街中にあるのが普通なようで、この後も様々な街で見かけました。


旧ブルゴーニュ公爵宮殿の正面と、裏手にあるフィリップ善良公の像。
ちなみにその息子であるフィリップ豪胆公が1395年に出した、ブルゴーニュのコート・ドールでのガメイ種の栽培を禁止する命令が有名です。

街のシンボルにもなっている、ふくろうの像。ノートルダム協会の外壁に彫られています。
ふくろうの像を左手で撫でながら願いごとをすると願いが叶うという伝説があり、近づくとたくさんの人たちが像に触った跡がよくわかります。

このふくろうにちなんで、ディジョンの街には観光名所に誘導してくれるふくろうのマークが、地面のいたるところに設置されています。この矢印を追っていくと、観光スポットまで連れていってくれる楽しい仕掛けです。
ワイン旅3~4日目 ―アルザス
3日目は歴史あるコルマールの街へ
➤コルマールの街へ
ワイン旅3日目のこの日は、朝からディジョン→コルマールへ移動。10時ごろにディジョンの駅を出発し、12時前には到着する程よい距離。
ブルゴーニュとアルザスはアクセスが良い上に、前者はフランス文化圏、後者はもともとドイツ文化圏のためワインや食文化にも大きな違いがあるので、ぜひ両方を体験してみていただきたい土地です。
この日はワイナリー見学はなく、アルザス観光へ。

駅から15分も歩くと、そこには中世の香りを残した美しい街並みが広がっています。ちなみに右手の黄色の建物はレストランで、もちろん現役で使用されています。

アルザスでの記念すべき一杯目…ということで、迷わずリースリングを注文しました。注目すべきは、このワイングラス! ステムの部分が緑色のこぶりなグラスで、アルザスではあらゆる場所で使われています。
こちらは「Roemer Glass」と呼ばれているそうで、ドイツに最初にワインづくりをもたらしたローマ人にちなんでいるそうです。もともとは、この地方でガラスを作る際に含まれていた成分(炭酸カリウムと砂)の影響で全体が緑色になっていたそうですが、透明なガラスを作れるようになってからは、ボウルの部分が緑色ではワインの色の見え方を損ねる、ということで無色透明になり、現在の姿に至るそうです。

手前は、この地方の名物であるアルザス風薄焼きピザ「タルト・フランベ」。マンステールチーズなどのフロマージュ・ブランの上に玉ねぎとベーコンを載せるのがベーシックなレシピで、コクがありつつもサクサクとした軽い食感のピザです。
これが爽やかな酸味のリースリングと驚くほど合います。発酵させなくともよい生地なので、日本のご家庭でも簡単に作れます。お料理好きな方はアルザスのリースリングとご一緒に、ぜひ試してください。



街の様子。
歴史ある街並みが大切に保存され、街のどこを切り取っても絵になるのは本当うらやましい限りです。

こちらは、アルザスの名物であるクグロフの焼き型。とっても可愛らしく買って帰りたい衝動にかられますが、まだ旅路は長いので泣く泣く断念…。

こちらのグラス、アルザスのお土産屋さんならどこでも売っています。可愛らしい絵付けをしたものもありとても愛らしいです。
➤ストラスブールへ
コルマールを一通り観光したのち、翌日のガイドさんとの待ち合わせに備え、アルザスの中心都市であるストラスブールへ移動します。

こちらはストラスブールのノートルダム大聖堂。1647年から1874年まで世界一の高層建築だったそうです。確かに、上まで写真におさめるのに大変苦労しました…。ヴォージュ産の砂岩を建材として使用したため、赤茶色~ピンク色の独特の色味が特徴です。
4日目は、ストラスブールの駅前でガイドさんと待ち合わせをし、ワイナリー見学に出発しました。

移動中。わかりづらいですが、写真の中央あたりの高さに見えるのが、ヴォージュ山脈です。
これまたソムリエ/ワインエキスパート試験頻出ですが、ヴォージュ山脈が大西洋から吹いてくる湿った風を遮ってくれるため、アルザスはフランスでも2番目に降水量が少なく、乾燥してワインづくりに向いた土地になっています。
4日目はアルザスの可愛い村々を周ります
➤リクヴィルへ
車で45分ほどで、リクヴィルという村に到着しました。
この日訪れたワイナリーはMaison Zimmer。


1840年創業という歴史あるワイナリーで、店内はブルゴーニュで訪問したドメーヌと比べるとぐっとカジュアルです。

店内にはワインづくりの古い道具もオブジェとして並べられています。
そんな中に、何か違和感のあるものを発見…。

キツネちゃん(剥製)です。その昔、ぶどう畑に入ってきたキツネをつかまえたのだそうな…。やっぱり、動物も美味しいぶどうを狙ってやってくるんだ…と妙に納得してしまいました。
こちらで試飲させていただいたワインは4種類。
① Alsaze Grand Cru ‘Schoenenbourg’ Riesling 2014
② Tradition Pinot Gris 2017
③ Vieilles Vignes Gewurztraminer 2018
④ Alsaze Grand Cru ‘Sporen’ Gewurztraminer 2015
印象的だったのは③と④のゲヴェルツトラミネールの違い。

③は品種香であるライチのあとにミネラルっぽさや荒々しい土のような香りが感じられ、やや辛口。この地方の名産である、マンステールチーズ(牛乳から作られるウォッシュタイプのチーズ。香りは個性的でクセが強いが味わいはマイルド)によく合うワインだそうです。

一方、同じ品種から作られているものの、④のワインはかなり異なった個性がありました。香りが「どっさり」と言いたくなるほどの豊かな甘く熟したライチ香に、ねっとりしたテクスチャー、いつまでも続く余韻はまるで貴腐ワインのようでした。これは、ぜひフォアグラに合わせたい…!
アルザスのワインの価格はブルゴーニュに比べるとずっと求めやすく、ついつい買い込んでしまうかもしれません(私は実際、買い込みました…)。
試飲後はリクヴィルの散策へ。「アルザスの真珠」と呼ばれ、フランスで最も美しい村のひとつといわれるだけあり、伝統的かつカラフルで可愛らしい街並みがとても素敵です。



村のすぐ裏手にはぶどう畑が。
➤リボーヴィレへ
お次は、リクヴィルとほど近いリボーヴィレの村で。こちらはもう少し大きめの街で、観光スポットとして同じく大変にぎわっていました。


昼食の付け合わせに出てきたのは、じゃがいものソテー。食事だけ見るとドイツにいるかのようです。

街の様子。

この銅像はまるでハーメルンの笛吹き男?! やはりドイツっぽい…。
この日は日曜日だったため、残念ながら開いているワイナリーが少なく、夕方にはTGVで次の目的地=ボルドーに向かう予定があったため、試飲は一軒のみでアルザスを後にしました。
それでも、リースリング、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネールというそれぞれの個性を楽しめたアルザスでのワイナリー体験と美味しい食で満足感いっぱい。次はアルザスでもう少しゆっくり過ごしたい! と思える2日間でした。
さて、ここで旅行も折り返し地点。
次回はボルドー、そしてシャンパーニュの旅についてご紹介させていただきます。
記事内容は記事作成時点の情報となります。

飲料のブランディングや広報を経験後、J.S.A認定ソムリエ資格を取得。現在は都内で酒類・飲料メーカーに勤務。
知識ゼロから一発合格を果たした経験と歴史・文化の知識を活かして、ワインをわかりやすく解説します。