今日は、なにノムノ?
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ビオワインとは? その特徴やオーガニックワイン・自然派ワインとの違いを解説!

ビオワイン食卓

エコやスローライフが注目され、無添加食材のみを扱うスーパーやレストランが増えてきたここ数年。日本で自然派ワインが紹介され始めたのが1990年代後半ですが、今では「ビオワイン」「オーガニックワイン」「自然派ワイン」「有機ワイン」などという単語を、耳にする機会が増えました。

なんとなく体にも良さそうで、二日酔いになりにくい、悪酔いしにくいとも聞きます。

では、それぞれどんな特徴があって何が違うのでしょうか?

私個人も友人達からビオワインってそもそもどんな定義なの? と聞かれることも多く、ここではそれぞれの違いなどをご紹介していきたいと思います。

「ビオワイン」の定義

ビオワイン

「BIO(ビオ)」とは、有機栽培、有機加工食品のことで、「ビオワイン」とは「ビオ」と「ワイン」という言葉を組み合わせた造語です。「ビオワイン」という言葉の定義は実は曖昧で、定まったものがまだありません。生産者によって「自然」の程度や意味の捉え方が違っていたり、国や地域によっても見解が異なることから、様々な解釈がされているようです。

日本国内では、有機栽培のブドウを使って造られたワインのことを「ビオワイン」と呼ぶことが多く、「ビオワイン」を名乗る際に特別な定義や認証は必要ありません。ワインに「有機」「オーガニック」という名称を付ける場合、農林水産省の定める第三者機関から有機JAS認定を取得する必要がありますが、「ビオワイン」には厳密な定義がなく、生産者の判断で名乗ることができてしまうのが、国内での実情です。

一方、EU圏内のワインでは「BIO」もオーガニックの一部とされているため、名乗る際にはオーガニックの認証を受ける必要があります。この認証は2012年に基準が発表された、EUオーガニックワイン憲章という法律によって規制されており、オーガニックワインと名乗るには、土づくりを有機肥料のみで3年以上行い、ブドウ栽培は化学肥料や農薬、除草剤などの使用をせずに行う必要があります。このような基準に沿ったワインには「organic wine」というラベル表示が認められており、このオーガニックワインが通称BIOと呼ばれます。

この他にも、フランスの国際有機認証機関である「ECOCERT(エコサート)」、フランス農務省認定であるABマークの「Agriculture Biologique(アグリカルチュールバイオロジック)」や、ドイツのオーガニック認証機関である「Demeter(デメター)」など、認定基準は異なりますが、国によって様々な認証機関があります。

「ビオワイン」、「オーガニックワイン」、「自然派ワイン」の定義の違いとは

響きが似通っていて定義が難しい、「ビオワイン」「オーガニックワイン」「自然派ワイン」。これらの違いを見ていきましょう。

まずは「ビオワイン」。先述したことを要約すると、国や地域によって定義は異なります。日本では有機栽培のブドウを使って造られたワインのことを「ビオワイン」と呼ぶことが多く、EU圏内のワインでは「BIO」もオーガニックの枠組みで捉えられているため、オーガニックワインと同義語になります。

次に「オーガニックワイン」とは、オーガニックブドウから造られるワインのことです。原則として、化学肥料、農薬、除草剤を使用せず、遺伝子操作や放射線処理が禁止された有機農法によって生産されたブドウ(=オーガニックブドウ)を用いて造られます。国や地域によって認証機関や基準は異なります。

最後に「自然派ワイン」とは、欧州で化学肥料や除草剤を使わず有機栽培で育てたブドウを使い、自然酵母で発酵させたワインを、「ヴァン・ナチュール(Vin Nature)」と呼んでおり、これを日本語にしたのが自然派ワインです。

これらをまとめると、ビオワインとオーガニックワインは有機栽培のブドウを使って造られたワイン、自然派ワインは有機栽培のブドウを使い自然酵母で発酵させたワインのことを指します。

国や地域によって明確な定義がないのが混乱を招く原因かもしれないですね。基準が曖昧なので、迷った場合は認証があるワインを選定するか、ワインショップの店員さんに聞いてみたり、ワイン評論家のオススメを参考にしてみてはいかがでしょうか。

ビオワインの特徴

ビオワインの味わいとは

ビオワインは、可能な限り自然に寄り添い、自然の力を存分に引き出すように作られています。化学肥料や農薬・人工酵母を使わず、酸化防止剤をなるべく少なくするなど、その多数がブドウの底力を引き出し、それを最大限に生かしてボトリングされています。そのため土地の良さが表れ、味わいがとてもピュアでパワフルだったりと様々な表情を持ち、これまでのワインのイメージを覆してくれる点が大きな魅力です。私の友人の中には、これまでワインは苦手と感じていたけれど、ビオワインに出会ってワインが好きになったという人もいます。

無農薬で丁寧に作られたビオワインは、口に含んだ瞬間、ブドウをそのままかじったようなフレッシュさがあり、優しく繊細な味わいと香りの良さを感じることができます。ビオワインの一番の特徴は何と言ってもこの味わい。自然なままの味わいを残すために無濾過で瓶詰めされることもあるビオワインは、濁っているものもあり、一般のワインにはない雑味が感じられ、これがビオワイン独特の旨味や繊細さとして表れます。

土地や生産者によって異なる、表情豊かで優しいこれらのワインは、料理の邪魔をせず、むしろ引き立ててくれます。辛い料理や少しクセのあるタイ料理・中華料理はどんなワインと合わせようかと考えてしまうこともありますが、ビオワインとのペアリングもとてもオススメです。

ビオワインは二日酔いになりにくい?

ワイン二日酔い

ビオワインの魅力についてご紹介しましたが、それではよく聞く「二日酔いになりにくい」「悪酔いしにくい」「酔いにくい」という話は本当なのでしょうか? これに関しては科学的な根拠はなく、諸説あるようですが、ワインで頭痛になったり悪酔いする原因は「亜流酸塩」と呼ばれる酸化防止剤によるもの。ビオワインにはこの「亜流酸塩」の量が抑えられているためというのが主流のようです。また、ここからは個人的な意見なのですが、ビオワインは旨味が強く味の満足感があり、味わいながら飲むのでガブガブ飲んでペースが乱れたりしない事や、ビオワインを好きな人は健康志向であるので量をそこまで求めない傾向にある事、ビオワインを扱うバーやレストランではワインに合わせる食事もケミカル志向ではない事などが関係するのではないかと考えています。

ビオワインのデメリットとは

では、反対にビオワインのデメリットとはどんな点が考えられるのでしょうか。

まず、原料のブドウから丁寧につくるため、どうしてもコストが高くなり、出荷する本数も少なくなります。自然に寄り添い作られるため、ヴィンテージが違うと別のワインのように感じることもあります。また、ビオ臭と呼ばれる自然派ワイン特有の香りが発生するものもあり、飲みなれていない人からすると、わずかに酸っぱい独特なこの香りに馴染めないこともあるかと思います。繊細なワインなので、保存状態が重要で、管理が少し難しいことも挙げられます。

ただ、これらデメリットもビオワインファンにとってはどれもメリットでもあります。希少価値は飲むときの特別感となり、様々な味わいの個性は楽しむことができます。ビオ臭に関しては、ないと少し寂しさを感じたりもします。わたしの友人の傾向としては、癖の強いウイスキーを好んで飲む人がビオワインを好きになるケースが多く、ビオ臭が好きでビオワインにハマった、という人もいます。

ビオワインの農法

農法

リュット・レゾネ(減農薬栽培)

リュット・レゾネとはフランス語で「減農薬栽培」という意味であり、直訳すると「合理的な対策」といったような意味があります。ぶどうの栽培において、化学肥料や農薬、除草剤などを「絶対使わない」という厳格なものではなく、例えば雨が多くカビが発生しそうといったトラブル時には「必要最小限」で化学物質を使用します。

これを人間に当てはめると、滅多に薬は服用しないけどインフルエンザにかかった場合はタミフルを服用します、といったところかと思います。

なお英語で「サステイナブル農法」と言った場合、「持続可能な」という意味があり、リュット・レゾネとほぼ同義で使われます。完全に農薬を使わないビオロジック農法・オーガニック農法とは違い、あくまで“極力”化学物質を使用しないで生産するので、自然界に存在するもののみを使用する農法と最新技術の融合といったところでしょうか。

同じような用語で、「リュット・アンテグレ(lutte integree)」があります。こちらも化学肥料などを極力使わない農法で、害虫駆除に当たって農薬ではなく天敵となる虫を用いるなど、リュット・レゾネとは細部が異なります。

ビオロジック農法(オーガニック農法)

ビオロジック農法とは、リュット・レゾネやリュット・アンテグレとは異なり、殺虫剤や除草剤、化学肥料や添加物などを一切使わずにぶどうを栽培する農法で、遺伝子組み換えや放射線処理も禁止となっています。いわゆる「有機農法」のことで、鶏糞や羊糞などの有機肥料を使用することが前提とされており、「オーガニック農法」も同じような意味で用いられます。

人間に当てはめると、インフルエンザにかかってもタミフルなどを服用せずに、自己治癒力で治癒を目指しますといったところでしょうか。多くの生産者はまずは、先述のサステイナブル農法から始めて、畑の健全化を促し、その後にこちらの農法に移行する生産者が多いようです。

また、これまで醸造に関する規定はなかったのですが、EUのオーガニックワインに関する新規定では、亜硫酸塩の使用量について通常のワインより少なくする規定ができました。

しかし、日本国内では亜硫酸塩の使用量に規定がなく、ビオロジック農法を採用していても、通常のワインと同じく亜硫酸塩を添加している生産者もいるようです。

ビオディナミ農法(バイオ・ダイナミック農法)

ビオディナミ農法は、ビオロジック農法がベースとなった有機農法で、「播種(はしゅ)カレンダー」という星の位置などを記した種まきカレンダーを使用します。オーストリアの人智学/教育理論の研究者、ルドルフ・シュタイナー博士にが20世紀に提唱した理論に基づいて生まれた農法で、特徴の1つが「プレパラシオン」と呼ばれる肥料(調合剤)の使用方法です。例えば、牛のフンや水晶の粉、花、樹皮などの材料を独自の方法で加工し、土地に散布することで土壌を活性化させます。プレパラシオンには農園用(500~501)、堆肥用(502~507)などの区別があり、用いられる材料や方法・効能は次のようになっています。

 ・500 Bouse de Corne「雌牛の角に詰めた牛糞」
雌牛の角に牛糞を詰め、冬期の土中に6カ月埋め、雨水で希釈・1時間撹拌してから散布することにより、微生物や虫の繁殖を助けたり葡萄の根の強化に効果がある。
 
・501 Silice de Corne「雌牛の角に詰めた水晶の粉」
水晶を砕いて粉末状にしたものを水で溶き、雌牛の角に詰め、5~11月頃までに土に埋めた後取り出し6カ月間日光に当てる。雨水で希釈・1時間撹拌したのち、春~夏に散布することにより、光合成を促進し、植物の代謝を高め茎や葉の成長を刺激する効果がある。
 
・502 Achilee Millefeuille「牡鹿の膀胱に詰めたノコギリソウ=アキレーの花」
ノコギリソウの花を乾かし牡鹿の膀胱に詰め、夏の間日光の良く当たる場所にぶら下げ、10月に土に埋めたものを4月上旬に堀り出し、乾燥させ粉末にする。それを煎じた上で肥料に混ぜることにより、硫黄の量を調整する効果がある。
 
・503 Matricaire「牛の腸に詰めたカミツレ=カモミール」
カモミールの花を牛の小腸に秋に詰め発酵させ、冬の間は土に埋め、春になったら乾燥させ粉末にする。それを煎じた上で肥料に混ぜることにより、石灰分の供給・窒素量を調整する効果がある。
 
・504 Ortie Piquante「乾燥させて煎じたイラクサの葉と茎」
イラクサの葉と茎を土の中に埋めて腐葉土にし、乾燥させて煎じ、乾燥させ粉末にする。それを煎じた上で肥料に混ぜることにより、窒素・鉄分の供給を促す効果がある。

・505 Ecorce de Chene「家畜の頭蓋骨に詰めたオークの樹皮」
9月にオークの樹皮を細かく砕き、家畜の頭蓋骨に詰め湿った土の中に埋め、乾燥させ粉末にする。それを煎じた上で肥料に混ぜることにより、石灰分(カルシウム)の供給を促す効果がある。
 
・506 Pissenlit「牛の腸に詰めたタンポポ」
タンポポを牛の腹膜に詰めたものを9月末に土の中に埋め、翌年の4月に掘り出し、乾燥させ粉末にする。それを煎じた上で肥料に混ぜることにより、ケイ酸の供給を促す効果がある。
 
・507 Valeriane「カノコ草 カノコ草の花びらを搾った液体」
カノコソウの花の花を瓶に入れ、水に浸し、その瓶を木に吊るし、乾燥させ粉末にする。それを煎じた上で肥料に混ぜることにより、リンの供給を促す効果がある。
 
・508 Equisetum arvense
スギナを陰干しして乾燥させ、煮出し汁を肥料に混ぜることにより、サビ病などの真菌類などによる病害予防をする効果がある。

これらのプレパラシオンをいつ撒くのか、収穫、瓶詰、オリ引きはいつ行うのかなど、全ての農作業は天体の動きや月の満ち欠けに合わせて全て手作業で行い、どこかスピリチュアル的な要素を感じます。科学的な根拠はないようですが、生産者はそれが味わいへ影響するのだと信じており、実際にシャトー・ラトゥールやドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティも、ビオディナミを取り入れている生産者のひとつです。

ビオワインが飲めるおすすめのお店

nomuno 2924
自然派ワインと日本酒が2,500円で飲み放題

no.501
ギャラリーのような角打ちバー併設の自然派ワインショップ

pitou
新宿ゴールデン街にある自然派ワインバー

クオーレ・フォルテ
イタリアのワイナリーを巡って仕入れた自然派ワインを扱うバール

ぜひ、様々なビオワインを試して、お気に入りを見つけてみてくださいね!

記事内容は記事作成時点の情報となります。

nomuno編集部
nomuno編集部

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