今日は、なにノムノ?
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ワインをもっと楽しむ! ワインエキスパートの資格とは?

ワインでホームパーティ

ワインエキスパートとソムリエの違い

ワインエキスパートは、皆さんにとって馴染みのある「ソムリエ」と同じく、社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A)が認定する資格です。

「ソムリエ試験」には、アルコール飲料を提供する飲食サービス、またはワイン・酒類飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関講師、種類製造、またはアルコール飲料を取り扱うコンサルタント業務の3年以上の経験が必要です。

一方、「ワインエキスパート試験」に関しては職業を問われないので、ワインが好きで詳しくなりたい20歳以上の方でしたら誰でも受験が可能です。一般のワイン愛好家にぜひおすすめしたい資格なのです。

ちなみに2016年までは「ソムリエ」「ワインエキスパート」に加え販売業者のための「ワインアドバイザー」という資格もあったのですが、2016年以降は「ワインアドバイザー」が「ソムリエ」に統合され、現在は「ソムリエ」と「ワインエキスパート」の2種類となっています(ソムリエのさらに上級資格であるシニアソムリエという資格もあります)。

ワインエキスパートをとるメリット

「ワインショップ、ワインバーに行く楽しみが倍増する」

ワインエキスパート資格を持つメリットと言えば、とにかくワインに詳しくなれることです。 ワインの選び方や飲み方に、今までとは違うプロ目線を生かすことができます。 エキスパートをとったら年収が上がった、といったケースは少ないのですが、ワインを飲むことが大好きで生活の一部になっている方にとっては、魅力的なのではないでしょうか。

ワインエキスパート試験はソムリエ試験とほぼ同じで、合格するには専門知識とテイスティングスキルが必要です。そのため、資格を取れるレベルの知識を持ち合わせていれば、 TPOに合わせたワイン選びも可能です。大切な人へのプレゼントとして、あらかじめどんな種類のワインが好きか、どんな味わいや香りが好みなのかをヒアリングしておけば、相手の喜ぶものが大体わかるようになります。そして、「ワインのことはあの人に聞こう」と、ワイン好きを自分のアイデンティティのひとつとして周りから認知してもらえるまでになると、日々の生活も楽しくなってきます。さらに、ワインショップやワインバーでお店のオーナーの趣味嗜好にも気づくようになります。

ただの酒好きから、ワインマニアもしくはプロ目線でワインを選定できるようになれるのは、ほかでもないエキスパート資格取得者ならではの特権だと思います。

「自分の本当に好きな1本に出会える」

ワイン越しの畑

勉強を進めていくうち、 ただただワインを「なんか……美味しいかも!?」と飲んでいたレベルから、生産地の土壌のテロワールや生産者の思いなどを考えつつ飲むようになり、「あぁ、これは私にぴったりだ!」と思う1本に出会えるときがくると思います。

8000年前から造られていると言われる歴史のあるお酒に対して、深掘りして知識を得られるということは本当に楽しいものです。

ワインエキスパート試験の難易度は?

エキスパートの試験は、近年ではソムリエ試験とほぼ問題が同じと言われており、難易度も同様に高く設定されています。ただし、エキスパート試験はソムリエ試験と違い、3次試験(サービス実技)がありません。

エキスパート試験とソムリエ試験は、1次試験は知識を問われる筆記試験で、2次試験はテイスティングです。テイスティングでは生産地やぶどう品種だけでなく、そのワインの香りや味わいの特徴も的確に把握しなければなりません。香りをとる鼻や繊細な舌を鍛えるには、足繁くワインバーに通ったり、テイスティングキットを買う人もいたりと色々苦戦してる人が多いようです。

私も、 ソムリエ試験を控えていたころ、休みの度に都内のワインバーを2~3軒回っては、味の違いや生産地の特徴をメモしながら勉強していました。嗅覚や味覚は体調やシチュエーションによって変わるものなので、そこが非常に難しいところだと感じます。

ワインエキスパートを独学で取得するために

「過去問と問題集をとにかく解きまくる!」

個人的な話をさせていただくと、私はソムリエの資格を独学で2017年に取得しました。もちろんワインスクールに通って一歩ずつ確実に知識をインプットしテイスティングを定期的に行えればベストだと思いますが、当時は本業が忙しく、ワインスクールに通う時間をなかなか捻出できませんでした。

エキスパートを受験される方も、本業の仕事が忙しい方が多いでしょうから、私なりの時間がない方向けの勉強方法をご紹介します。

ソムリエもしくはエキスパートの受験を申し込むとソムリエ教本が届くのですが、まるでタウンページのような厚さの教本に絶句した覚えがあります。しかも毎年教本が分厚くなっているとの噂…。

私は、勉強方法として、教本を片っ端から暗記というのはナンセンスと割り切りました。基本的な考えは「インプットよりもアウトプット重視」でした。

過去問と類似問題集をかき集めて、とにかく何度も何度も解きまくりました。そして分からないところをリストアップし、繰り返し知識を頭に入れていくスタイルでした。

何度も過去問を解いていくと、ソムリエ教本の内容が100あるとしたら、実際に試験で問われる「核の部分」は30くらいの範囲なのだと気づきます。邪道と思われても仕方ありませんが、 繰り返し出題されているところはそれだけ重要なポイントなので、そこを集中的に勉強するのです。

「教科書をしっかり読んでから問題集を解く」という義務教育通りの方法ではなく、「教科書を読み通したら即、過去問」がカギです。インプットよりも、問題を解いて答えるアウトプットを重視することで記憶の定着につながりますし、また、解けなかった箇所を明確にリストアップすることにより、自分の苦手分野を把握することができます。その苦手分野に焦点を当てて勉強していくと知識量が飛躍的に上がっていき、次第に楽しくなってきます。

夜遅く帰宅し、2時間勉強、少しの仮眠後に朝起きて2時間勉強、の繰り返し。週に1度の休日には14~15時間一気に勉強する、という、今考えればなかなかハードなスケジュールでした。

そこまでハードに勉強しなくてもいいかな…と思われた方は、 エキスパートは本業では使わない趣味の範囲の資格なので、 ゆっくり自分のペースで、無理なく楽しく学習していくのも良いかと思います。ただ、前述した通り、毎年教本が分厚くなっていくので、早めの取得をおすすめします。さらに、エキスパートの受験費用は25,440円と決して安くはない金額です。どうせ受けるのなら、一発合格を目指してみてはいかがでしょうか。

ワインエキスパートを持つ芸能人

ワインエキスパート資格を取得した、芸能人やタレントも増えてきました。

SMAPの稲垣吾郎さんをはじめとして、アーティストのGACKTさん、X JAPANのYOSHIKIさん、スポーツ界からは桑田真澄さんや江川卓さん、そのほかにも滝川クリステルさんや杉本彩さん、押切もえさんらもワイン好きが興じてエキスパートを取得されています。

ワインを共通項にして人脈が広がりそうですね。SNS上でワイン会といったコミュニティもたくさんあるので、「ワイン好き」のつながりは今後より増えていくと思います。

ワインエキスパート資格をとって、もっとワインを楽しもう!

テーブルの上のワイン

現在では日常的にワインを飲む方も多くなり、自宅にワインセラーを置いている、というワインラバーも増えました。エキスパート資格をとることによって、ちょっとしたホームパーティや、ワインバーにデートで行ったとき、仕事上でのお客様とのコミュニケーション手段のひとつとして、何気ない日々の生活がワインによってより鮮やかになるのは間違いないでしょう。

今年のワインエキスパート試験申し込み期限は6月28日の18時までです。2019年取得を目指して、楽しく勉強していきましょう!

■参考
一般社団法人日本ソムリエ協会

記事内容は記事作成時点の情報となります。

ソムリエ吉川 大智(Yoshikawa Daichi)
ソムリエ吉川大智(よしかわだいち)

世界40ヶ国200都市の酒場とワイナリーを旅した元バーテンダー。
ワインバーのマネージャーを経て、現在多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。JSA認定ソムリエ。
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