今日は、なにノムノ?
今日は、なにノムノ?

フランチャコルタってどんなワイン? その特徴とおすすめワイン2選!

フランチャコルタイメージ

フランチャコルタとは

「フランチャコルタ(Franciacorta)」とは、イタリアを代表する最高級スパークリングワインのことです。 北イタリアのロンバルディア州フランチャコルタ地方で、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造られています。世界的にも認められた品質の高さを誇り、【フランチャコルタの奇跡】とも呼ばれています。

まだ名前を聞いたことがない方もいるかも知れませんが、イタリアンレストランで見かけることも増えてきましたし、俺のシリーズで有名な「俺のイタリアン」では、シャンパーニュに並び「俺のフランチャコルタ」が人気メニューに入っていました。

こちらの記事では、これから大注目のスパークリングワイン【フランチャコルタ】の産地、特徴、種類、合わせたい料理、おすすめワインなどについてご紹介します。

フランチャコルタの産地

フランチャコルタの産地

フランチャコルタが造られる、イタリアの北西部に位置するロンバルディア州は、イタリアで4番目に大きい州です。現在イタリアで最も人口が多く、国民総生産の4分の1を生み出す豊かな州と言われています。商業、金融、重工業、軽工業、ファッション、食品など、ロンバルディア州にはあらゆる産業が集まっており、中心地のミラノは観光地としてもとても有名です。

ロンバルディア州フランチャコルタ地方のワイン造りは、16世紀から始まりましたが、フランチャコルタが誕生したのは1950年代後半です。まだワインの歴史は新しいにもかかわらず、瓶内二次発酵で造られるスパークリングワインの産地として揺るぎない地位を確立しました。

フランチャコルタのブドウ畑は、イゼオ湖の南に広がる丘陵地で、イゼオ湖が生み出す温暖な気候、そしてイゼオ湖の北から吹く冷涼な風、水はけがよくミネラル分を豊富に含む土壌など、恵まれた条件が重なり、ブドウが完璧に熟成します。

フランチャコルタの特徴

フランチャコルタは、1967年イタリアの原産地呼称法で、上級なワインだけに許される「D.O.C.(統制原産地呼称)」に認定されました。D.O.C.は、ブドウやワインの収量やアルコール度数などが厳しく制約されています。

そして、1995年に原産地呼称法の最高ランクである「D.O.C.G.(統制保証原産地呼称)」に認定されました。このD.O.C.G.は、D.O.C.よりも規定が厳しく、出荷の際には国の検査をクリアしなければいけません。

フランチャコルタは、厳しい規定をクリアした素晴らしい品質や味わい、そして急成長した背景から【フランチャコルタの奇跡】と呼ばれているのです。

フランチャコルタに使用されるブドウ品種は、白ブドウの「シャルドネ(Chardonnay)」、「ピノ・ビアンコ(Pinot Bianco)」、「エルバマット(Erbamat)」、黒ブドウの「ピノ・ネーロ(Pinot Nero)」、以上4種類のみです。

実は、ピノ・ビアンコは、「ピノ・ブラン」、ピノ・ネーロは、「ピノ・ノワール」なので、高級スパークリングで有名なシャンパーニュに使われているブドウ品種と同じなのです(シャンパーニュは、シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの3品種を主に、ピノ・ブラン、ピノ・グリ、プティ・メリエ、アルバンヌの4品種も認められています)。

フランチャコルタの製法

フランチャコルタの製法

 スパークリングワインのことを、イタリアでは「Spuma=泡、泡立つ」の意味から、「スプマンテ(Spumante)」と呼びます。「フランチャコルタ」の名前は馴染みが少なくても、「スプマンテ」ならご存知の方も多いのではないでしょうか?

天使のラベルで有名な「アスティ・スプマンテ」や、ヴェネド州で造られる「プロセッコ」が有名ですね。これらのスパークリングワインの多くは、スティル・ワイン(非発泡性ワイン)を大きなステンレスタンクに密閉して、その中に糖分と酵母を加えて二次発酵をおこす【シャルマ方式】で造られます。一度に大量に生産することが可能で、短期間で商品化出来るため、コストを抑えたワイン造りが可能です。

それに対して、「フランチャコルタ」は、スティル・ワイン(非発泡性ワイン)を瓶に詰めて、糖分と酵母を加え密閉して、瓶内二次発酵をおこす【トラディショナル方式】で造られます。「瓶内二次発酵方式」や、「シャンパーニュ方式」とも呼ばれ、高級スパークリングワインの証です。

 さらに、フランチャコルタには、瓶内二次発酵で造られるスパークリングワインとして、世界でもっとも厳しい生産規定があります。一般的なタイプで、瓶内熟成期間は最低18ヵ月以上が義務付けられています。

シャンパーニュと比較してみると、シャンパーニュの瓶内熟成期間は最低15ヵ月なので、フランチャコルタの方が熟成期間が長いことがわかりますね。

時間をゆっくりとかけて自然に発酵することにより、キメ細かな泡と味わい深いコクが生まれ、飲みごたえのあるスパークリングワインとなるのです。

フランチャコルタの種類

フランチャコルタの種類は、後で詳述しますが、辛口~甘口の味わい別に6種類に分けられます。

① ノン・ドサート
②    エクストラ・ブリュット
③    ブリュット
④    エクストラ・ドライ
⑤    セックまたはドライ
⑥    ドゥミ・セック

そして、熟成期間や決められたブドウを使用するなどの細かい規定により5種類に分けられます。

❶ フランチャコルタ
❷ フランチャコルタ・サテン
❸ フランチャコルタ・ロゼ
❹ フランチャコルタ・ミッレジマート
❺ フランチャコルタ・リゼルヴァ

ドザージュによる分類

フランチャコルタの辛口~甘口の味わいは、瓶内二次発酵方式の製造工程である、澱引き(デゴルジュマン)が済んだあとに、補糖(ドザージュ)されるリキュールの量によってそれぞれが持つ味の特徴が決められます。

①ノン・ドサート1リットル中3gまでの糖分で、極辛口なタイプ
②エクストラ・ブリュット1リットル中6gまでの糖分で、非常に辛口なタイプ
③ブリュット1リットル中12g以下の糖分で、一般的な辛口なタイプ
④エクストラ・ドライ1リットル中12~17gの糖分で、ブリュットよりは甘口でやわらかなタイプ
⑤セックまたはドライ1リットル中17~32gの糖分で、少し甘口なタイプ
⑥ドゥミ・セック1リットル中33~50gの糖分で、甘口タイプ

❶ フランチャコルタ

〈ブドウ品種〉シャルドネ、またはピノ・ネーロを、最大50%を上限にして、ピノ・ビアンコの使用も認められます。エルバマットは最大10%使用可能。

〈特徴〉もっともスタンダードなタイプで、瓶内熟成期間は18ヵ月以上、収穫後は少なくとも25ヵ月以上経てから出荷されます。ボトルの内圧は5~6気圧と規定があります。

〈ドザージュ〉ノン・ドサート、エクストラ・ブリュット、ブリュット、エクストラ・ドライ、セックまたはドライ、ドゥミ・セック。

❷ フランチャコルタ・サテン

〈ブドウ品種〉白ブドウからのみ造られる「ブラン・ド・ブラン」で、ピノ・ネーロは使用不可。主な品種のシャルドネと最大50%のピノ・ビアンコ使用。

〈特徴〉瓶内熟成期間は、最低24ヵ月以上が義務付けられています。ビンの中の気圧が5気圧以下のときにだけ「サテン」を名乗ることが許されています。その名の通り、サテンのようなスムースで口当たりがクリーミー。女性らしい優しい味わいです。

〈ドザージュ〉ブリュット

❸ フランチャコルタ・ロゼ

〈ブドウ品種〉ピノ・ネーロを最低25%以上使用しなけばいけません。シャルドネ、ピノ・ビアンコは最大50%、エルバマットは最大10%まで使用可能。

〈特徴〉フランチャコルタ・ロゼは、ピノ・ネーロをワインが望み通りの色調になるまで果皮を入れたまま発酵させます。そうすることでふくよかな果実味と複雑性が生まれます。瓶内熟成期間は最低24ヵ月以上です。

〈ドザージュ〉ノン・ドサート、エクストラ・ブリュット、ブリュット、エクストラ・ドライ、セックまたはドライ、ドゥミ・セック。

❹ フランチャコルタ・ミッレジマート

〈ブドウ品種〉シャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコの単一品種を85%以上使用。

〈特徴〉フランチャコルタ・ミッレジマートは、ブドウの作柄が良かったヴィンテージに造られるため、その年に収穫されたブドウならではの品質を鮮やかに映し出します。収穫から少なくとも37ヵ月経たないと出荷できません。生産年を表記できる、シャンパーニュの「ミレジメ」だと思えばわかりやすいですね。

〈ドザージュ〉ノン・ドサート、エキストラ・ブリュット、ブリュット、エキストラ・ドライ。フランチャコルタ・サテン・リゼルヴァの場合はブリュットのみです。

❺ フランチャコルタ・リゼルヴァ

〈ブドウ品種〉シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ビアンコ使用。

〈特徴〉フランチャコルタ・リゼルヴァは、卓越したクオリティーのミッレジマートから造られます。その香りと味わいを最大限に引き出すため、長期間酵母を入れたまま熟成させます。熟成期間は60ヵ月以上で、収穫後から67ヵ月も経てから出荷される、フランチャコルタの中で一番高級なタイプです。

〈ドザージュ〉ノン・ドサート、エキストラ・ブリュット、ブリュット。フランチャコルタ・サテン・リゼルヴァの場合はブリュットのみです。

フランチャコルタの美味しい飲み方と合う料理

フランチャコルタの飲み方

スパークリングワインならば、とキンキンに冷やして飲む方も多いと思いますが、フランチャコルタは一般的なスパークリングワインよりも熟成期間が長いので、香りを楽しむためにも温度は少し高めの8℃~10℃がおすすめです。

常温の状態から冷やすのであれば、飲む2~3時間前に冷蔵庫に入れるといいでしょう。ワインクーラーやシャンパンクーラーがあれば、氷水と一緒に入れて約20分ほどで冷えてきます。時々ボトルを回してくださいね。

フランチャコルタを飲むときのグラス

そしてワイングラスは、スパークリングワイン用の細長いフルートグラスではなく、ふくらみのあるシャンパングラスや、白ワイン用のワイングラスで飲むといいでしょう。ワイングラスの飲み口が大きめだと、より一層フランチャコルタの香りや、繊細でクリーミーな味わいを感じることができます。

スパークリングワインは食前酒のイメージが強いのですが、フランチャコルタは食前酒だけではなく、料理に合わせた食中酒にもぴったりです!

イタリア、ロンバルディア州の名物サフラン風味のリゾットや、ミラノ風仔牛のカツレツ、オッソブーコ(仔牛すね肉の煮込み)はもちろん、フランス料理や、アジア料理にも◎。また意外に思われるかも知れませんが、フランチャコルタの繊細な味わいは、和食とも相性抜群です。

味噌

熟成期間が長いフランチャコルタは、香りや味から熟成のニュアンスを感じられるため、旨みやコクの強い味噌を使った料理「西京焼き」、「お肉の味噌漬け」、「もつ煮」、「生麩の田楽」とのペアリングが最高です! フランチャコルタを飲む際には、是非試してみてくださいね。

フランチャコルタのおすすめワイン2選

カ・デルボスコ

カ・デル・ボスコ キュヴェ・プレステージ

ブドウ品種 シャルドネ75%、ピノ・ネーロ15%、ピノ・ビアンコ10%
味わい 辛口
アルコール度数 12.5%

フランチャコルタを代表する生産者のカ・デル・ボスコ社。2008年から新しく発売されたキュヴェ・プレステージです。ボトルには紫外線を防ぐための、透けたオレンジ色のUVフィルムがかけられており、高級感があります。

厳選された自社畑のブドウだけを使用し、最高のヴィンテージのフランチャコルタ・レゼルヴァをブレンドして、約25ヶ月の熟成期間を経てから発売されます。

きらきらと輝く濃いイエローに、細やかな泡と、シャルドネ主体の心地の良いフレッシュな酸味、しっかりとしたボディ、これこそ王道のフランチャコルタの味わいです。

ミラベッラ

ミラベッラ フランチャコルタ サテン

ブドウ品種 シャルドネ100%
味わい 辛口
アルコール度数 12.5%

樹齢18年以上の日当たりのよいシャルドネを厳選して使用しており、瓶内熟成は28ヵ月以上で、オリを取り除いた後、更に3ヵ月熟成させます。

ブルゴーニュのシャルドネのような、上品なバニラと熟成した香りがとても印象的。飲み終わるころには蜜のニュアンスを強く感じるため、ゆっくりと時間をかけて飲むと香りの変化が楽しめます。「サテン」の名前の通り、すべすべとしたサテン地のようなスムースな味わいは、デイリーワインとしてではなく、ちょっと特別な日に飲みたい1本です。

高級なスパークリングワイン=シャンパーニュだけではなく、奇跡のスパークリングワイン【フランチャコルタ】も高品質ながら2,000円台後半から購入できるので、この機会にフランチャコルタを味わってみてくださいね。 

■参照
2019年日本ソムリエ協会教本
フランチャコルタ公式サイト

記事内容は記事作成時点の情報となります。

林 かおり(Hayashi Kaori)
ソムリエ林 かおり(Hayashi Kaori)

J.S.A.ソムリエ、調理師、食生活アドバイザー2.3級を取得。旅行コンサルタント会社で旅館ホテルなどへの飲料提案を行う。現在は都内フレンチでソムリエとして活躍中。