今日は、なにノムノ?
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サンジョベーゼの特徴とは? イタリアの代表品種を徹底解説!

サンジョベーゼイメージ

イタリアワインの王道ぶどう品種であるサンジョベーゼ。今回はサンジョベーゼの産地や特徴、合わせたい料理、ソムリエが厳選したおすすめワインをご紹介します。

サンジョベーゼとは

サンジョべーゼは、イタリア中央部にあるトスカーナ地方が原産のぶどう品種です。イタリア全土で最も多く栽培されていて、特にトスカーナ地方を代表するキャンティ地区、キャンティクラシコ地区の主要品種として有名です。ワイン好きの皆さんなら「キャンティ」「キャンティクラシコ」という名は一度は聞いたことがあるかもしれません。こちらは後ほど詳しく説明させていただきます。

サンジョベーゼは果実味豊かでフレッシュなタイプのものから、重厚で長期熟成に向いているタイプまであり、育った風土によって、同じ品種でも大きさや味わいも多岐にわたります。また、突然変異しやすいぶどうとして有名で、多くのクローンを持ちます。クローンは大きく分けて「サンジョベーゼ・グロッソ」の系統と、「サンジョベーゼ・ピッコロ」の系統に分かれていて、現在では全部で88ものクローンがあると言われています。

『サンジョベーゼ・グロッソ』(シノニムはブルネッロ)は、濃密な超熟ワインであるブルネッロ・ディ・モンタルチーノやヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノの原料として知られています。粒が大きく皮も厚いため、風味が強く、熟成すると芳醇な味わいになります。トスカーナ地方の中でも最高級ワインと称されています。また同じイタリア国内でも、多くのシノニム(呼び名)があり、ブルネッロ、プルニョーロ・ジェンティーレ、モレッリーノ、サンジョヴェートと呼ばれています。

一方で『サンジョベーゼ・ピッコロ』のピッコロは「小さい」という意味で、実が小さく、果実味が豊かで酸味もあり、飲みやすいのが特徴です。

サンジョベーゼの主な産地

ブドウ畑

サンジョベーゼの栽培はイタリア全土で行われていますが、中部のトスカーナ州が主要な生産地です。トスカーナ州は、赤ワインの生産量が9割弱で、キャンティやブルネッロ・ディ・モンタルチーノといった有名なD.O.C.G.をはじめとする高品質なワインが数多く生産されています。そして、その高品質な赤ワインのほとんどがサンジョベーゼを主体にして造られています。またトスカーナ州の海岸部では、土着品種と国際品種をブレンドして造られる「スーパータスカン」と呼ばれるワインの生産が盛んです。この地で栽培されているサンジョベーゼは、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローとブレンドされます。

また、トスカーナ州に隣接するエミリア・ロマーニャ州、ウンブリア州、マルケ州でもサンジョヴェーゼは広く栽培されています。

イタリア原産のぶどう品種のほとんどは世界中で広がることなく、イタリア国内のみで生産されることが多いのですが、サンジョベーゼは国際的な品種です。イタリアの影響が強いフランスのコルシカ島や、アメリカのカリフォルニア、アルゼンチンでも近年生産量が増えています。

Chianti(キャンティ)とChianti-Classico(キャンティ・クラシコ)

サンジョベーゼを主にして造られる「キャンティ」「キャンティ・クラシコ」と表記されているワインは、価格帯やクオリティの面でも大きな違いがあります。

キャンティとは、イタリアのトスカーナ州「キャンティ地区」で造られる赤ワインのことを指します。キャンティは、イタリアのワイン法で、最高の格付け「D.O.C.G.」に格付けされています。キャンティ地区は非常に広大で、トスカーナ州全体の1割を占め、イタリアのD.O.C.G.産地の中で最大の広さを誇ります。そのため生産量が多く、味わいや品質、価格に大きな幅があります。

キャンティ・クラシコも「キャンティ地区」で造られ、D.O.C.G.に格付けされている赤ワインですが、キャンティよりも栽培地域が限定されている上、より厳しい条件をクリアしたワインだけが、キャンティ・クラシコと名乗ることができます。そのため、クオリティの高いワインが生産され、価格帯も比例して高額になる傾向があります。

サンジョベーゼの特徴

サンジョベーゼの色調は濃いルビー色で、はっきりした酸味と渋みが特徴です。アロマは控えめなタイプが多く、イチゴやラズベリーのようなフレッシュなニュアンス、そして黒コショウのようなスパイシーな香りも併せ持っています。

長期熟成型の場合は、熟成するごとに酸味が穏やかになっていき、熟したプラムやブラックベリーのような果実の香りが強まり、味わい深く、コクのあるワインに仕上がります。

また、サンジョベーゼは晩熟で、暑い年には濃厚でアルコール分が高く、長期熟成に耐えるワインが造られることが多いです。一方で、冷涼な年には酸が高くタンニンが強くなる特徴があり、気候の差によってクオリティに差が出やすいぶどう品種と言えます。

サンジョベーゼのワインに合う料理

トマトソースの料理

果実味と酸味が際立つフレッシュなタイプのサンジョベーゼには、パテやモルタデッラ、羊乳でつくられるトスカーナの特産品、ペコリーノチーズと相性が良いです。

一方で、濃厚な味わいが特徴のブルネロのようなタイプのサンジョベーゼには、牛肉や猪肉などのジビエとよく合わせます。また、トマトソースがベースのパスタやピザ、カポナータやポモドーロ、ラザニアといった「トマトやチーズを使ったイタリア料理」とも非常にマッチします。

ソムリエがおすすめするワイン3選!

バディア ア パッシニャーノ キャンティ クラシコ グラン セレッツオーネ

イタリアの赤と言えばキャンティ、と言われるほど、キャンティは日本でも人気が定着したトスカーナのワインですね。こちらはサンジョベーゼを80%使用した格上のキャンティクラシコで、濃厚なタンニンと、まろやかで口当たりの滑らかな味わいが特徴です。

レオナルド ブルネッロ ディ モンタルチーノ

ブルネロ・ディ・モンタルチーノは、バローロ、バルバレスコと並んで「イタリアの三大赤ワイン」の一つです。サンジョベーゼの変異種ブルネロを100%使用することが義務付けられた、長期熟成型タイプのワインで、世界的にも高い評価を受けています。

レオナルドダヴィンチの生家の近くに畑があり、エチケットもおしゃれでプレゼントにも喜ばれる一本です。凝縮感のあるフルボディの飲み口です。

ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ ピエトラ・ディアヴォロ

ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノは、トスカーナ州で古くから親しまれているフルボディのワインです。サンジョベーゼ主体で70%以上の使用が義務付けられていますが、このワインはサンジョベーゼの変異型、「プルニョーロ・ジェンティーレ」を主に使っています。プラムやさくらんぼの香りがあり、まろやかで上品な味わいです。

いかがでしたでしょうか。キャンティとキャンティクラシコの飲み比べや、サンジョベーゼの変異種で造られたワインを比べて飲んでみるのも面白いですよ。皆さんも是非、この機会にサンジョベーゼのワインを飲んでみてください。

■参考文献
The Wine ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド
基礎から学ぶ田辺由美のワインブック

■Photos by Unsplash

記事内容は記事作成時点の情報となります。

ソムリエ吉川 大智(Yoshikawa Daichi)
ソムリエ吉川大智(よしかわだいち)

世界40ヶ国200都市の酒場とワイナリーを旅した元バーテンダー。
ワインバーのマネージャーを経て、現在多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。JSA認定ソムリエ。
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