今日は、なにノムノ?
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シャブリってどんなワイン?相性のよい料理やおすすめのシャブリもご紹介

シャブリと牡蠣

ワインをあまり知らない方でも、「牡蠣にはシャブリ」という文句を耳にしたことがあるのでは? 世界中で愛される辛口白ワインの代名詞、シャブリ。実はその昔、偽物シャブリが出回ったこともあるのです!

今回の記事では、シャブリとは一体何か? シャブリの格付け、シャブリと料理のマリアージュなど、シャブリの全てを詳しくご紹介していきます。 

辛口白ワインの代名詞、「シャブリ」とは?

シャルドネ

シャブリとは、ブドウの品種でも、作り手の名前でもありません。フランス、ブルゴーニュ地方の最も北に位置する【シャブリ村】で造られるワインのことを「シャブリ Chablis」と呼びます。

シャブリには赤ワインやロゼワインは存在せず、白ブドウ品種のシャルドネ100%から造られる白ワインだけがシャブリを名乗ることができます。

ワインを飲む方なら、牡蠣にはシャブリを合わせるといい! と聞いたことがあると思いますが、私自身も生牡蠣が大好きで、シャブリ×生牡蠣のマリアージュを何度も試したことがあります。シャブリはオイスターバーには必ずといっていいほど置いてありますし、最近ではスーパーマーケットでも見かけます。値段も2,000円代から購入できるので、気軽にフランスのシャブリを楽しめるのも魅力の一つですね。

シャブリの特徴

シャルドネ畑

ブルゴーニュ一帯は、ジュラ紀(約2億年~1億5千年前)には浅くあたたかい海で覆われていたため、シャブリの土壌であるキンメリジャン(キンメリッジ階)には小さな牡蠣や貝殻、この時期の海洋生物の化石が多く含まれているのが特徴です。この「キンメリジャン」とブルゴーニュ最北であるシャブリ村の冷涼な気候が相まって、柑橘系の爽やかでミネラル感豊富なすっきりとした辛口のワインが生まれるのです。シャブリ×牡蠣が合う理由の1つとして【シャブリ村で造られるブドウは、牡蠣の成分をもった土壌から生まれるため】ということがわかりましたね。

そもそもミネラル感がわからな~い! という方は、ミネラルウォーターの硬水(フランスのエビアンやコントレックスが有名)を飲んだときに、しっかりとした飲みごたえを感じませんか? 硬水にはカルシウム、マグネシウムが多く含まれているため、ミネラルを感じることができるはずです。また、キリッとした酸味や海っぽい塩味もミネラル感と例えられることが多いです。

シャブリの格付け

シャブリ 教会

すっきりとした辛口ワインのシャブリは、世界中の白ワインの代表とも言える存在です。その不滅の名声にあやかりシャブリ村で造られていない「アメリカ産シャブリ」や「スペイン産シャブリ」などの“偽物シャブリ”が出回ってしまい、本物と間違われて爆発的に売れたことがあります。現在では、フランスのワイン法により、最上位のカテゴリーにランクされている 原産地統制呼称A.O.C.(Appellation d’Origine Contrôlée アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ)に認定されているため、実際にシャブリ村で造られたワイン以外は「シャブリ」を名乗ることができず、偽物シャブリが出回ることはなくなりました。

全てのシャブリに、必ず【Appellation d’Origine Contrôlée もしくは Appellation Chablis Contrôlée】という表記がありますので、エチケット(ラベル)をチェックしてみてくださいね!

そして、ブルゴーニュ地方では細かな【畑による格付け】があり、シャブリでは格上順に、シャブリ・グラン・クリュ、シャブリ・プルミエ・クリュ、シャブリ、プティ・シャブリの4段階に分けられます。

 【シャブリ・グラン・クリュ Chablis Grand Cru】

シャブリ・グラン・クリュは、シャブリの中で最高級のワイン。畑は7つあり、スラン川の右岸に広がっています。標高は約100~250mで、とても日照に恵まれています。シャブリ・グラン・クリュは長期熟成向きで、良いものはワインセラーで5~10年熟成するといいでしょう。

ブランショ Blanchot 
ブーグロ Bougros
レ・クロ Les Clos
グルヌイユ Grenouilles
プルーズ Preuses
ヴァルミュール Valmur
ヴォーデジール Vaudesir

この7つの中では、レ・クロが25.87haと最大面積を占めており、知名度も一番。パワフルで力強く、厳格なワインとして長期熟成にも耐えられるのが特徴です。そして、最も小さい9.38haなのがグルヌイユです。グルヌイユとはフランス語でカエルの意味なので、「小さいカエル」と覚えると忘れませんね。このグルヌイユは斜面下部にあるため土壌の粘土質が強く、芳醇でリッチな味わいのワインを生み出します。

また、特例ですがヴォーデジールとプルーズにまたがる「ムートンヌ」はグラン・クリュではありませんが、8番目の特級畑とも呼ばれており【シャブリ・グラン・クリュ ムートンヌ】と記載することが認められています。ここはドメーヌ・ロン・デパキが単独で所有する畑です。

【シャブリ・プルミエ・クリュ Chablis Premier Cru】

1級畑のシャブリ・プルミエ・クリュは、40の畑が指定されています。

畑はスラン川の両岸に広がり、スラン川左岸で造られるワインは、白い花や洋ナシ、りんごの白系果実を思わせる味わいで、スラン川右岸のワインは、アプリコットやミラベルのような黄色い熟した果実のエキゾチックな雰囲気をもっています。

グラン・クリュと違い、長期熟成向きではなく早飲みタイプが多いため、すぐにシャブリを楽しみたい場合、グラン・クリュではなくプルミエ・クリュを選ぶといいかもしれませんね。

代表的なクリマは以下のとおり。

右岸 モン・ド・ミリュ Mont de Milieu
右岸 モンテ・ド・トネール Montee de Tonnerre
右岸 フルショーム Fourchaume
右岸 ヴォークパン Vaucoupin
右岸 レ・フルノー Les Fourneaux

左岸 ヴァイヨン Vaillons
左岸 モンマン Montmains
左岸 コート・ド・レシェ Cote de Lechet
左岸 ボーロワ Beauroy
左岸 ヴォグロ Vosgros

【シャブリ Chablis】

シャブリ地区全域で造られ、生産量が最も多く、日本でもっともよく見かけるのがこちらのタイプです。フレッシュな早飲みタイプ。

【プティ・シャブリ Petit Chablis】

プティ(Petit)はフランス語で小さいという意味ですが、小さいわけではありません。シャブリの中で一番カジュアルなタイプ。土壌は、キンメリッジ土壌ではない、白く硬い石灰岩が含まれるチトヌス階(以前はポートランド階と呼ばれていた)から造られる、シャブリ地区の雰囲気を味わえるワインです。

シャブリの楽しみ方

温度計

飲み頃や飲む温度は?

白ワインは6~14度で飲むのが最適の温度と言われています。たとえば、先日ソムリエ協会のセミナーで聞いたあるフランス料理店の話ですが、そのお店では「供出温度はワインを理想的に味わってもらうためには最重要」という考えから、少々不恰好でもワインクーラーに温度計を差してお客様に提供しているそうです。それほどワインは温度により味わいが変化する繊細な飲み物なのです。

 一般的なシャブリでしたらヴィンテージから2~3年経った頃が飲み頃と言えます。冷蔵庫の野菜室が約6度なので、冷蔵庫でしっかりと冷やすことにより、フレッシュ感が際立ち、味わいがドライで酸味がよりシャープな印象になります。

熟成タイプのシャブリ・グラン・クリュでしたら、ワインセラーで5~10年ほど寝かせておくと、酸味が上品にまとまり、味わいに深みが出ます。シャブリらしいフレッシュでミネラル感豊かな味わいから、熟した果実、土やきのこのニュアンスまで感じることができるのです。温度を少し上げて飲むと香りが広がり、熟成感、複雑性が高まり、酸味が柔らかくなるのでオススメです。 グラスも小ぶりではなく、飲み口が広い大きめなグラスがいいでしょう。

 シャブリは高品質なものでもブルゴーニュワインの中では比較的低価格で購入できるため、自分のお気に入りのワインを3本購入し、すぐに飲む用、5年後用、10年後用と熟成による変化を楽しんでみるのもよいですね。

どんな料理に合う?

オストレア1

シャブリといったらやっぱり牡蠣! ですが、牡蠣と言っても生、蒸す、焼き、フライなど食べ方が色々とありますよね。牡蠣の旬は1年のうち2回あり、岩牡蠣は夏、真牡蠣は冬なのです。ちょうど真牡蠣が美味しい季節ということで、牡蠣の何料理がシャブリに合うのかをオイスターバーの「Ostrea 新橋店」で試してきました。オストレアとはラテン語で「牡蠣そのもの」という意味です。

オストレア2

ジャン・マルク・ブロカール シャブリ サント・クレール 2018 アルコール度数12.5%

100%キンメリジャン土壌の畑から造られています。

オストレア3

色はやや濃い目のイエロー。香りはグレープフルーツや青リンゴ、アカシア、火打石。温度が上がるにつれて蜜を含んだリンゴ、アプリコットのようなニュアンスが現れました。シャブリらしいキリッとした伸びやかな酸とミネラルを感じます!

さて、何の料理が合うのか、いってみましょう!

オストレア4

牡蠣のグラタン【◯】 チーズの塩味とシャブリの塩っぽいミネラル感がマッチ。シャブリでも樽熟成タイプならさらに◎。牡蠣のグラタンに合わない白ワインを探すのが難しいほど万能性がありますね。

 牡蠣のバターソテー【◎】 バターのマイルドさ、牡蠣のクリーミーさをシャブリがすっきりと流してくれます。また バジルのハーブ感と2018年ヴィンテージのシャブリの若い青々しい味わいがピッタリ!

カキフライ【×】 絶対合うと思ったカキフライ。油がだめなのか? カキフライそのものは美味しいのに、シャブリを飲むと口の中に油っぽさが残ります。カキフライにはスパークリングワインがいいですね。もしカキフライにシャブリを合わせる場合は、タルタルソースは使わずに「塩とレモン」が◯。

 ムール貝蒸し【◯】 ムール貝とシャブリも合いますが、にんにくの味が強すぎたので◎ではなく◯で。

オストレア5
オストレア6

生牡蠣【◎】 やっぱり鉄板の組み合わせです。生牡蠣にレモンをギュッと絞ることにより、より一層シャブリのキレのよい酸味と合いますね。特にシャブリに合うと感じた生牡蠣は、北海道産 仙鳳趾(せんぽうし)です。3Lサイズは私の手のひらより大きかったです!

オストレア7

番外編ですが、シャブリ以外のワインも試してみました。

ピノ・ノワール【×】 ワインを飲み込んだあとに生臭さが残ります。これは残念。生牡蠣ではなく、ソースでいただくカキフライに合わせたいですね。

シェリー(フィノ)【△◎】 シェリーもフィノ、アモンティリャード、オロロソの3種類ありました。シェリーの生産地はスぺイン南部の海に面している場所のため、牡蠣の塩気ととてもよく合います。ですが、どうしても口の中でシェリーが勝ってしまうため、好き嫌いが分かれるマリアージュとなりました。また、シェリーなら磯の風味、塩味を感じられるマンサニーリャがおすすめです。

そして、個人的に試して欲しい料理はポトフです。

ポトフ

え~? ポトフにシャブリ? と思う方もいらっしゃると思いますが、ポトフはフランスの郷土料理ですし、もともとシャブリ村は北緯48度に位置し、日本で言えば北海道札幌が北緯43度なので、シャブリ村はかなり北に位置していると言えます。そして、寒い地域で出来たワインはその土地の料理と相性抜群なのです。

シャブリをキンキンに冷やして夏にいただくのも最高ですが、寒い季節に、温かい料理と合わせるのもいいですよ。本場ではベーコンやウインナーを入れますが、私は手羽元を使うのが好きで、セロリの変わりにパクチーを入れても美味しいです。フランス、ブルゴーニュ地方で有名なマイユのマスタードと合わせていただけば、気分はフランスです!

 おすすめのシャブリ

ルイ・ジャド シャブリ セリエ・ド・ラ・サブリエール 2018年 アルコール度数 13%

「ルイ・ジャドを語らずしてブルゴーニュは語れず」と世界中から高い評価を受けているルイ・ジャド社が造るシャブリです。あの有名なワイン漫画「神の雫」3巻にも登場し、生牡蠣に合わせていたワインなのです。

フレッシュな柑橘系の果実にアカシアなど白い花の香り、伸びやかな酸が口に広がります。

 ドメーヌ・ラウル・ゴートラン シャブリ プルミエ・クリュ ヴァイヨン 2016年 アルコール度数13.5%

老舗ドメーヌの伝統的でスタイリッシュなシャブリ。柑橘系やリンゴの果実味にミネラル感をしっかりと感じられます。プルミエ・クリュらしい華やさ、上品さがあるので牡蠣以外にもお寿司など和食に合わせるといいですね。

さて、いかがでしたでしょうか? まだシャブリを飲んだことのない方は、フランスワインの中では比較的リーズナブルな価格でシャブリらしい味わいが楽しめるので、この機会にあなただけの「シャブリとのマリアージュ」を探してみてくださいね。それではAu Revoir!

■参照
・日本ソムリエ協会教本2019
・ブルゴーニュワイン大全

記事内容は記事作成時点の情報となります。

林 かおり(Hayashi Kaori)
ソムリエ林 かおり(Hayashi Kaori)

J.S.A.ソムリエ、調理師、食生活アドバイザー2.3級を取得。旅行コンサルタント会社で旅館ホテルなどへの飲料提案を行う。現在は都内フレンチでソムリエとして活躍中。