今日は、なにノムノ?
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ナパバレーってどんなところ? ソムリエが語るワイナリーの楽しみ方

ナパバレー

みなさんはアメリカのワインを飲んだことはありますか? アメリカワインは主に「カリフォルニア州」「ワシントン州」「オレゴン州」「ニューヨーク州」でつくられていますが、全生産量の約9割がカリフォルニア州産です。今回はそのカリフォルニア州の、世界的にも人気のある「ナパバレー」についてご説明いたします。

ナパバレーとは?

ナパバレー オーパス・ワン
Photo by Julie, Dave & family on Flickr

カリフォルニア州の国土は日本の国土の約1.1倍! 日本よりも大きいのです。また、ワインの産地としてはLAに近い南部のサンタバーバラや中部のモントレー、リバモアバレー、シエラフットヒルズなど、多くの有名な産地がありますが、なかでも一番注目されているのが、サンフランシスコから車で北上して約2時間のところにある、ナパバレーなのです。

夏季は雨が少なくからっとした晴天が多く、冬季は比較的温暖な気候で、ワイン造りには最適ないわゆる「地中海性気候」なので、古くからワイン造りが行われていました。

ナパのワインが世界的に広まったきっかけとなる、パリスの審判

アメリカ独立200周年記念となった1976年のこと。パリでワイン学校を営むイギリス人のスティーブン・スパリュアが、カリフォルニアワインとフランスワインの飲み比べを企画しました。そして5月24日に、パリで、ワイン界の権威である9人が集められ(全員がフランス人でした)ブラインドティスティング大会が行われました。

当時フランスは昔からの伝統的な製法を守っていたのですが、対するアメリカは最新の醸造技術を積極的に取り入れ、改良を重ねていた醸造家が多かったのが特徴でした。

結果はなんと、白ワインは1973年ヴィンテージのカリフォルニアのシャトーモンテレーナ、赤ワインは1973年ヴィンテージのカリフォルニアのスタグス・リープと、白赤ともにカリフォルニアワインが1位を獲得したのです。

それまでは「ワインといえばヨーロッパ」「フランスワインがすべて」といった風潮でしたが、この事件は、「フランス以外でもパフォーマンスの良いワインを造ることができる」ということを立証するきっかけとなりました。

ナパの代表ぶどう品種

暖かくて晴天の多いナパバレー。この地はあらゆるぶどう品種の生産に適合していますが、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、メルロー、ジンファンデルなどの品種は19世紀ごろから盛んに作られています。特にジンファンデルはカリフォルニアの地ぶどうと呼ばれていて、古くから現地の人に親しまれているぶどうです。その他、ソーヴィニヨンブランやプティシラー、近年ではピノノワールも素晴らしい出来です。

その中でも、ナパといえばカベルネ・ソーヴィニヨン。「ナパの王様」と形容される代表品種です。カベルネ・ソーヴィニヨンは複雑なアロマを持つ奥ゆかしい品種で、特にナパのワインは長期熟成に非常に適しています。熟成されたワインは赤身のステーキによく合い、チーズとの組み合わせも抜群です。

ナパのワイナリーでカベルネ・ソーヴィニヨンを栽培していないところはないくらい、メジャーな品種になっています。ワイナリーを訪れたらまずはそこのカベルネ・ソーヴィニヨンを飲んでみてください。

ナパバレーへの行き方とおすすめの時期

からっとしたさわやかな天候が続くイメージがあるカリフォルニアですが、中でもナパは温暖な気候が続きます。

ベストシーズンはぶどうの実がなっていて、収穫時期と重なる9月〜10月の間。ワイナリーも活気があって景観も良い時期です。注意点として、9月は「インディアンサマー(秋口から冬にかけての小春日和)」があり、日差しが非常に強いため、紫外線対策を万全にしておいたほうがよいでしょう。

9、10月以外の時期でも、ワイナリーは通年開いているところが多いので、ぜひ調べてみてください。乾季の4~5月あたりもブドウの葉が生き生きとしていてぶどう畑がきれいに見えます。雨季に入る11~12月のシーズンは気温が下がって寒くはなりますが、場所によっては温泉がある地域もありますので、ワイナリーでテイスティングを楽しんだ後に温泉で身体を癒す…といった最高のプランも立てられます。

車で行くならサンフランシスコからは1時間前後、サンノゼからは2時間程で着きます。広々とした道路を景色を楽しみながらドライブするのは気持ちのいいものです。レンタカーで回ればツアーと違って自分の行きたいワイナリーのみを訪問できますし、滞在時間も自分次第なのでおすすめです。

しかし、ドライバーは飲酒ができないので、全員がテイスティングを楽しみたいという時は、旅行会社が運営しているツアーに申し込むとよいでしょう。ナパのオプショナルツアーは宿泊日数や訪問するワイナリーなど、いろいろなプランがありますし、ワイントレインツアーが含まれているのもあります。

筆者が選ぶナパバレーベスト1ワイナリー

ガーギッチヒルズワイナリー

ここでは、私が実際に訪問した中で一番のお気に入りワイナリーをご紹介します。

パリスの審判で選ばれた ガーギッチヒルズ ワイナリー

ガーギッチヒルズワイナリー2

先にご紹介しましたパリでのブラインドテイスティングで、トップに選ばれた白ワインをつくったのが、ここガーギッチヒルズワイナリーです。シャトーモンテリーナ・シャルドネがトップに輝いた当時、このワイナリーでワインメーカーとして働いていたのがMike Grgich(マイク ガーギッチ)氏です。その功績を称えられ、彼は「キング・オブ・シャルドネ」と呼ばれ、ワインは後にホワイトハウスやイギリス王家の晩餐会に使用され、世界的にも認められたワイナリーに成長しました。

また、ガーギッチヒルズのぶどうは、「バイオダイナミック農法」という自然農法で栽培され、高品質でバランスの良いワインがつくられています。この農法では自然の堆肥を使用して有益なバクテリアの生育を助長した土を活かし、そこに生息する植物をサポートします。自然環境を考えた、地球にも人間にも優しいワイナリーなのです。

有機農法と違う点は、バイオダイナミック農法には地球と植物のリズムを考え、自然の大きなパワーを取り入れて栽培を行い、土地や植物の活力を最大限に引き出すという理念があること。とても手間と時間がかかる農法なのです。

ガーギッチヒルズワイナリー3

(クレジットのない写真は、著者撮影による2016年時点のものです。)

様々なテイスティング付きツアーがあり、スタッフも皆気さくでワインへの想いを熱く語ってくれます。 運がよければマイク・ガーギッチに会えるかもしれません。

乗ってみよう「ワイン・トレイン」

ワイン・トレイン
Photo by Jim G on Flickr

田園風景の中を走る観光列車「ワイン・トレイン」もおすすめの一つです。豪華な食堂車の車窓から見えるぶどう畑を眺めつつ、おいしい食事とワインのペアリングを楽しむことが出来ます。

「ワイントレイン」は、ナパヴァレーの中心にあるナパ・ワイントレイン駅から、北のセントヘレナ駅までの60キロメートルほどの道のりを約3時間かけて往復します。 途中下車・乗車して、ワイナリーを訪問するプランもあります。ガーギッチヒルズワイナリーへの立ち寄りプランもあるので、ぜひ調べてみてください。

食事を楽しみながら車窓から風景を眺めていると、400以上あると言われているナパの有名なワイナリーが続々と出現。ワイン好きにとっては、興奮の連続となることでしょう!

おまけ/ナパバレーを舞台にしたおすすめの映画「サイドウェイズ」

カリフォルニアのナパバレーを舞台にした2009年公開の邦画です。アカデミー脚色賞を受賞した、2004年のハリウッド映画『サイドウェイ』のリメイク作品。小日向文世、生瀬勝久、菊地凛子、鈴木京香がナパを舞台に繰り広げる大人のコメディドラマ映画で、ワインを飲むシーンやぶどう畑が流れるシーンを見れば、きっともっとナパバレーに行きたくなってしまうはずです!

記事内容は記事作成時点の情報となります。

ソムリエ吉川 大智(Yoshikawa Daichi)
ソムリエ吉川 大智(Yoshikawa Daichi)

世界中のワイナリーとワインバーを渡り歩いた飲兵衛な旅人。延べ40カ国200都市以上を訪問。ワインバーの店長を経て、現在はバイリンガルのエンジニアとして勤務。