今日は、なにノムノ?
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オレンジワインとは? 赤・白・ロゼに続く話題のワインに迫る!

ジョージアワイン

ここ最近ブームになり、注目されている「オレンジワイン」。飲食店やスーパーなどでも見られるようになってきました。

そんなオレンジワインについて、みなさんはどれくらい知っていますか? ちなみに、筆者が受験した2017年のソムリエ2次試験の記述問題は「オレンジワインとはなにか、説明しなさい」でした。今後も需要が伸びていくであろう、オレンジワインを今回はご説明いたします。

オレンジワインって何?

オレンジワイン1

「オレンジワイン」という言葉だけ聞くと、「フルーツのオレンジで作ったワインなのでは?」と考えた方も少なくないのではないでしょうか。すももで作ったワインやみかんでできたワインもあるくらいですから、十分あり得ますよね!

でも、違うのです。色が白いから「白ワイン」、色が赤いから「赤ワイン」。それと同様、色味がオレンジ色だから「オレンジワイン」なのです。海外ではアンバー(琥珀色)ワインとも呼ばれていて、きれいなオレンジ色から、少しくすみがかかった琥珀色、うっすら茶色…と色味にも随分と幅があります。この差は製造方法によって生まれます。

オレンジワインの製造方法

オレンジワイン2

オレンジワインの製造方法を簡単に言うと、「白ワイン用に使う白ブドウを赤ワインを作る方法で醸造する」と「オレンジワイン」になります。

逆に、 赤ワイン用に使う黒ブドウを白ワインの製法で作る方法で醸造する」とロゼワインになります(直接圧搾法)。他にもセニエ法、混醸法とありますが、ここでは省略します。

オレンジワインに戻りますが、白ワインを作る際に取り出す果皮や種子を果汁と共に熟成させることで、色味に変化が出て、オレンジ色になります。

オレンジワインの製造方法には主に2種類あります。一つは酸化を促しながらスキンコンタクトをする伝統的なもの。もう一つは炭酸ガスが抜けないようにに醸造し、色の抽出を極力抑えながらスキンコンタクトするものです。 スキンコンタクトとは、ぶどうを破砕した後にプレスをせずに果汁に果皮を浸しておく状態のことを指します。

そして、オレンジワイン製造法のルーツですが、クヴェブリ(粘土で作られた伝統的な壺)の中に、収穫した葡萄を破砕し、果汁、果肉、果皮、種子、果梗といったすべてを入れて自然発酵させるという、伝統的な方法が発祥です。

オレンジワインの特徴と味わい

オレンジワインはその独特の風味と味わいで、近年ますます注目を浴びています。

オレンジワインの長所はまさに「白と赤のいいとこどり」なところです。

白ワインのようにフレッシュで飲み口がさわやかかと思いきや、スキンコンタクトによってにじみ出た独特の渋みは、赤ワインを飲んだ後の余韻に近いものがあります。また、オレンジワインの独特の酸味は、白ワインや赤ワインでは出せません。意外にもお魚やお肉料理、グリルした野菜など幅広くマリアージュを楽しむことができるのもオレンジワインの優れた点です。

たまに酸味が強くてこれはビネガーか!? と思ってしまうようなオレンジワインもありますが、それも個性のひとつ。口がキュッとすぼまってしまうようなフレッシュな酸味は、食前酒として楽しむのもおおいにアリだと思います。

オレンジワインの歴史と世界的流行

ジョージア国旗と教会

オレンジワインのルーツはなんと今から8000年前、ワインが世界で初めて作られた時代までさかのぼります。2013年に世界無形遺産に認定されたことから近年少しずつ注目を集めている国があります。それは「ジョージア」というコーカサス地方にある旧ソ連圏の国です。昔は「グルジア」とも呼ばれていて、こちらの名称のほうが馴染みのある方が多いのかもしれません。実は筆者、ワインのルーツを辿るべくジョージアに行って1カ月ほど暮らしていたことがあります。

オレンジワインはもちろんのこと、土中に埋めた粘土質でできた壺にぶどうを入れて発酵を促す「クヴェブリワイン製法」というジョージア独自の文化に興味を持ち、現地のワイナリーやワインショップを訪れては試飲をしていました。

この、ジョージアで作られている伝統的製法のワインですが、世界から注目されているのにも関わらず、現地の若い経営者たちはみな口をそろえて「古臭い」「手順が面倒くさい」「作業効率が悪い」と感じているようで、今では全体の生産量のわずか1%しかクヴェブリワインを作っていないそうです。

実際、ジョージアのカヘティ地方にあるオレンジワインを作るワイナリーを訪問した時は、ちょうど収穫時期に行った際に、破砕からクヴェブリを洗ってから入れるプロセスを見学させていただきました。工程がかなり多く、ジョージアの若者たちがクヴェブリ製法をやりたがらない理由も分からなくはないな…と感じました。

そんな伝統的な作りからなるオレンジワインを現代に復活させたのが、イタリアのフリウリ州の生産者、グラヴナーです。彼はジョージアワインに影響され、1998年に初めてオレンジワインを造りました。

その影響を受けて、次第にオレンジワインに注目が集まり、世界各地の産地でオレンジワインが造られるようになりました。現在では中でも発祥の地、ジョージアとイタリア、フランスといった西洋諸国、そして最近では日本の醸造家さんも力を入れているので、今後も目が離せません。

オレンジワインと料理との相性は?

和食

白ワインよりも渋みがあって、赤ワインよりもさわやか。前菜からメインまでフルで楽しめる、オールマイティな点がオレンジワインのいいところです。

そしてオレンジワインの新たな可能性としては、日本の「和食」との好相性が挙げられます。お寿司やお刺身、焼き魚といった魚介系の料理はもちろんのこと、てんぷらや鶏肉の唐揚げ、とんかつのような揚げ物にもよく合います。日本のワイン生産者が最近オレンジワインに力を入れているのは、和食と好相性だと知られてきた、ということもあるのでしょうか。都内の流行っている和食屋さんに入ってみると、オレンジワインがメニューに入っていることがよくあります。

また、韓国料理やインド料理、東南アジアなどのエスニック料理は香辛料のインパクトが強く、辛いものが多いのでワインとのペアリングは難しいと言われていましたが、オレンジワインと合わせるトレンドが来ています。オレンジワインの普及により、料理とワインのペアリングの可能性が、今後もっと広がっていくと思われます。

口の中がきゅっとするような酸味を持つオレンジワインの場合は、食前酒としてもお勧めです。

おすすめのオレンジワイン

ジョージアのカーゴ

1. ストリ マラニ ルカツィテリ

(Stori Marani Rkatsiteli)

先ほどご説明したワイン発祥の地、ジョージア産のワインです。スキンコンタクトして熟成させています。オレンジの皮やハーブのような風味で価格もお手頃です。「ルカツィテリ」というぶどう品種はジョージアで昔から栽培されている地ぶどうで、ジョージア以外の国では見られません。酸味が強く個性もしっかり出ているぶどうなので、非常に特徴的な味わいです。

2. イル チェンソ プラルアール 

(Il Censo Praruar)

イタリアのシチリア島で作られているオレンジワイン。カタラットという珍しいぶどう品種を使って作られています。フルーティなアロマとほんのりと感じる苦味が絶妙で心地よい飲み応えです。

3. シャトーマルス 甲州 オランジェ グリ

(Koshu Orange-Gris)

最後は、日本の山梨県甲州市で作られているオレンジワイン です。価格もリーズナブルで親しみやすい味わい。さっぱりとした前菜やタレを使ったお肉料理まで幅広いペアリングが可能です。

皆さんもこの機会に是非、オレンジワインを飲んでみてください。ワインの好みの幅が広がって、新しい世界が見えてくるかもしれません。

■参考文献
The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド

記事内容は記事作成時点の情報となります。

ソムリエ吉川 大智(Yoshikawa Daichi)
ソムリエ吉川 大智(Yoshikawa Daichi)

世界中のワイナリーとワインバーを渡り歩いた飲兵衛な旅人。延べ40カ国200都市以上を訪問。ワインバーの店長を経て、現在はバイリンガルのエンジニアとして勤務。