今日は、なにノムノ?
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スパークリングワインの定義とは? シャンパンとの違いや楽しみ方を徹底解説

スパークリングワイン乾杯

年末年始になれば、飲む機会の増えるスパークリングワイン。しかし詳しいことまではあまり知られていません。今回はスパークリングワインについて、その製法や種類、おすすめの楽しみ方をわかりやすくご紹介します。

スパークリングワインってどんなワイン?

スパークリングワインとは、基本的には3気圧以上のガス圧のある発泡性のワインを指します(一般的なペットボトル入りの炭酸飲料は4気圧程度)。そして、残念ながら発泡性のワインのことを一括りにして「シャンパン」と呼ばれてしまっていることがよくあるようですが、実は大きな違いがあります。

シャンパーニュの造り方

スパークリングワインの中でも、フランス北部にあるシャンパーニュ地方において、法律を守って生産されたものだけが「シャンパーニュ」を名乗ることができます。 スパークリングワインの種類の一つに、シャンパンがあるのです。その法律も厳密に細かく規定されています。

認可されているブドウ品種は全部で7種類ありますが、実際に栽培されているのはほぼ3種類です。「シャルドネ」「ピノ・ノワール」「ムニエ」です。最初の2つは有名なブドウ品種ですね。

発酵方法はトラディショナル方式(瓶内二次発酵)でなければいけません。その他、「生産地域」「ブドウ樹の剪定方法」「ブドウの収穫量や搾汁量」「収穫時の潜在アルコール度数」「瓶内熟成期間」等の細かな規定を全てクリアして「シャンパーニュ」と認められるのです。

非常に寒涼な地域でブドウ栽培が難しいことや、製造工程が複雑でコストがかかることから、シャンパーニュは他のワインに比べて高価です。

ただし、シャンパーニュの価格の中に広告費用が含まれていることは否めません(大企業によるブランド戦略とマーケティングにコストがかかっているためです)。

スパークリングワインの造り方

スパークリングワインを知る上で、「製法」は重要です。まず覚えておきたい製法は以下の2つです。

トラディショナル方式

トラディショナル方式

瓶内二次発酵方式とも言います。ワインを糖分と酵母と共に瓶詰めし、瓶の中で2回目の発酵をさせます。酵母は糖分を食べてアルコールと炭酸ガスに分解します。このガスがワインに溶け込みスパークリングワインとなるのです。

シャルマ方式

シャルマ方式

ワインを大きなタンクに密閉し、その中に糖分と酵母を加えて第二次発酵を起こさせて造ります。短期間で製品化できることと、空気に接触しないので、ブドウ由来のアロマを残したい場合や、一度に多量に生産できるので、コストを抑えたリーズナブルな発泡性ワインを造る場合に用いられます。

産地別のスパークリングワイン

ヨーロッパで定番のスパークリングワインや、その他の国で現在注目されている産地を見てみましょう。

フランス

クレマン:前述のシャンパーニュ以外の生産地で、各地方毎に「クレマン」と呼ばれるスパークリングワインが生産されています。造り方はシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵によるものです。

イタリア

プロセッコ:ヴェネト州とフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州の特定の地域で、「グレーラ」というブドウを主に用いて、基本的に前述のシャルマ方式で生産されます。とてもフルーティかつ親しみやすい味わいで人気です。さらに安価なこともあり(1000円台から買えます!!)、売れ行きを伸ばしています。

ランブルスコ:エミリア・ロマーニャ州で、ランブルスコ種系のブドウ品種から造られる天然弱発泡性の赤ワインです。以前は甘口が主流でしたが現在は辛口のものが生産量を伸ばしています。

スペイン

カヴァ:トラディショナル方式(瓶内二次発酵)で生産されるスパークリングワインです。スペインの広い地域で生産が認められていますが、カタルーニャ州が生産の95%を担っています。

その他の国

その他の国ではイギリスやオーストラリア・タスマニア島で生産される、冷涼な気候を生かしたスパークリングワインが注目を集めています。イギリスは以前までは寒冷すぎるためブドウ栽培に適さない地域でしたが、温暖化により一気に世界的なスパークリングワインの産地として名乗りをあげました。近年では大手シャンパーニュメーカーがこの地に進出しています。

スパークリングワインの楽しみ方

スパークリングワインと食事

スパークリングワインの楽しみ方は様々です。ご家庭でお料理の素晴らしい相方にもなりますし、外食した時に「乾杯はとりあえず泡で!」なんてのも良いと思います。お祝い事でシャンパーニュをプレゼントするのもとっても素敵ですよね。

スパークリングワインの開け方

開け方は少しだけ注意が必要です。コルクと留め金を覆っている「キャップシール」を剥がしたら、「留め金」を緩めます。緩めながら、「コルク」を親指で押さえておいて下さい。次にボトルを少し自分のほうに傾け、ボトルを少しずつ回しながら徐々に開けましょう。

(筆者は昔、コルクを押さえずに開けて、コルクを弾丸のように飛ばしてしまったことがあります。冗談でなく、見えないほどの速さで飛んで行きました…。)

スパークリングワインに適したグラスとは?

スパークリングワインとグラス

一般的にはフルート型と呼ばれる細長いグラスが良いと言われています。液面の空気に触れる面積が小さいので泡が長く持つのと、泡の立ち上がりがキレイに見えます。

しかし上質なシャンパーニュなどであれば、フルート型よりも少し膨らみのある形状のものの方がより香りを楽しめるのでおすすめです。大手のグラスメーカーのサイトを見るとわかりますが、一口にシャンパーニュ用のグラスと言っても10何種類もラインナップがあります。

スパークリングワインの飲み頃温度とは?

家庭で楽しむようなカジュアルなタイプであれば6~8度くらいが良いです。冷蔵庫から出して少しおいておいたぐらいが目安となります。高価なシャンパーニュともなると、それよりもさらに温度を上げたり、泡を敢えて飛ばしたりして楽しむこともあります。

スパークリングワインと相性の良い料理とは?

まず、スパークリングワイン自体が、あれこれ考えなくても炭酸がお料理とのバランスをとってくれるオールラウンダー選手ですので、幅広いお料理に合います。

以下では、家庭で気軽に楽しめる、比較的安価なスパークリングワインに合うお料理を解説します(高価なヴィンテージシャンパーニュともなると、明らかに香りの要素なども変わってくるため)。

まずは食材です。

Good ― 牡蠣やあさり等の貝類、ハム・ソーセージ、シナモンやクローヴ等のベーキングスパイス、レモンやグレープフルーツ等の柑橘類

Not so good ― 牛・羊・鹿等の赤身肉、かぼちゃや人参等の根菜類、トマトやピーマン等のナス科野菜

もし赤身のお肉に合わせるのであれば、ロゼのスパークリングワインがおすすめです。

調理法では揚げ物など油を使うようなものと相性が良く、泡と酸が油をキレイに流してくれます。

和食であれば魚介系の天ぷらはとてもよく合います。サクサクとした食感が泡の質感ともマッチしますし、ミネラル感のあるスパークリングワインは魚介との相性もバッチリです!

そして、基本的にお料理とともにスパークリングワインを楽しむのであれば、辛口のものが無難です。

おすすめのスパークリングワイン

おすすめのスパークリングワイン

ロデレール ・エステート “カルテット” アンダーソン・ヴァレー ブリュット (*平均価格 約3,000円)

シャンパーニュの名門「ルイ・ロデレール」がアメリカ・カルフォルニアの地で製造しています。リッチな口当たりと豊かなアロマがありながら、コスパの良い高品質スパークリングワインです。

グラハム・ベック ブリュット・ロゼ (*平均価格 約2,500円)

 南アフリカでスパークリングワイン生産のトップと称賛される、グラハム・ベック ワインズが造っています。

ネルソン・マンデラ氏やバラク・オバマ氏が大統領就任の祝いにこのメーカーのスパークリングワインを選んだことで有名です。2,000円台で購入できますので、ぜひ飲んでみて頂きたいです。

ハンブルドン プルミエ・キュヴェ (*平均価格 約8,000円)

 今最も注目を集めている産地イギリスのスパークリングワインです。シャンパーニュのスタンダードクラス(そのメーカーで一番お手頃な価格で最も生産量の多いワイン。必然的にそのメーカーの顔とも言えるシャンパーニュとなる)とお値段は同程度で、比較的高価ですが、シャンパーニュ以上の評価を受けています。

ボランジェ スペシャル・キュヴェ (*平均価格 約7,000円程)

シャンパーニュの老舗ボランジェ社が生産するシャンパーニュです。大手メーカーが造るスタンダードクラスでは群を抜いたクオリティで、ピノ・ノワールを主に用いて造られます。

*価格は複数の通販サイトを参照いたしました。

最後に、ワインを購入する時のポイントですが、大手の通販サイトで買うよりも、ワイン専門商社の通販サイトもしくは、ワインショップに実際に足を運んでの購入をお勧めします。そちらのほうが品質管理の点で信頼度が高いですし、ワインショップでは店員さんから楽しみ方などのアドバイスをもらいながら購入できるため、ワインとの出会いがより広がるのではないでしょうか。

この記事が読んで頂いた方の、ワインを手に取るきっかけになれば幸いです。

■参考文献
日本ソムリエ協会教本2019
The Wine ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド

記事内容は記事作成時点の情報となります。

ソムリエ柴田 郁也(Shibata Fumiya)
ソムリエ柴田 郁也(Shibata Fumiya)

フランス料理店勤務時にソムリエに憧れ勉強を始め、23歳で日本ソムリエ協会認定ソムリエを取得。都内のミシュラン星付きのフランス料理店やビストロを経て現在中目黒B.B.S.DINING.にてソムリエとして勤務。