世界一高価なワイン「ロマネ・コンティ」とは? 値段の理由についても解説

ロマネ・コンティ

ロマネ・コンティとは

「ロマネ・コンティ」。この名前を聞いたことがない人はいないのではないでしょうか? 世界中でもっとも高価なワインとして知られ、ワイン好きなら「一生のうちで一度は飲みたいワイン」と憧れを抱く、幻のワイン。

私自身、先日フランスに行き、ロマネ・コンティの畑を見学してきましたが、1.8ヘクタールしかないその畑の小ささはもちろんのこと、柵がなく警備員や監視カメラもない状態で、ブドウに触ることができるほど近くまで行けることに驚きました!

こんな小さな畑のブドウから造られたワイン、その1本のワインが世界中の人々を魅了し続ける…。今回はそんな世界最高峰と称えられる赤ワイン、「ロマネ・コンティ」について詳しくご紹介していきたいと思います。

ロマネ・コンティの歴史

ロマネ・コンティというブルゴーニュワインの名は、ブドウ畑、ロマネ・コンティからつけられました。ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(Domaine de la Romanée-Conti)、通称DRC社がモノポール=単独所有するピノ・ノワールのブドウ畑です。

ロマネ・コンティは宮廷の権力争いから生まれました。【ロマネ】は古代ローマ時代にまでさかのぼり、この畑を生み出した古代の「ローマ人」に由来し、【コンティ】はコンティ公ルイ・フランソワ・ド・ブルボンに由来しています。

18世紀、ブルボン王朝の頃、国王ルイ15世紀の右腕であったコンティ公は、国王の愛人であるポンパドゥール夫人と犬猿の仲でした。この二人の間で起きた、買収合戦でロマネ村の畑は一躍有名になります。この所有者の座を争いコンティ公と戦っていたポンパドゥール夫人でしたが、コンティ公が破格の金額を提示したため、惜しくもその願いは叶いませんでした。

もしポンパドゥール夫人がロマネ・コンティを所有していたら、「ロマネ・コンティ」の名ではなかった、ということですね。

1869年からはド・ヴィレーヌ家が所有していますが、その際に「ロマネ・コンティ」を単独所有(モノポール)したほか、リシュブールやグラン・エシェゾーなどの一部も所有しています。共同経営者に、オペール・ド・ヴィレーヌ氏とアンリ・フレデリック・ロック氏が着任していましたが、2018年11月 アンリ・フレデリック・ロック氏が死去したため、現在はロック氏のいとこである、ラルー・ビーズ・ルロワ氏の1人娘、ペリーヌ・フェナル氏が受け継いでいます。

伝統的な生産方法と品質へのこだわり

その輝かしい名声の陰に隠れ、意外と知られていないのですが、ロマネ・コンティは究極の【自然派ワイン】です。ブドウ畑は水はけのよい斜面で、岩石と泥灰土の基盤に、鉄分の多い石灰質土壌で海抜約240メートルの地にブドウの樹が植えられています。

1986年に完全に有機栽培になり、2007年からは、植物のもつ生命力を自然界のエネルギーで活性化し、化学肥料や除草剤、殺虫剤等を使用しない「ビオディナミ」に移行した、自然に造られた生き生きとしたエネルギーに満ち溢れている「ヴァン・ナチュール」なのです。

畑には厳しい条件があり、平均約50年と長い樹齢のブドウをそろえ、それをその年によって10hl/haまで収穫を抑え、ギリギリまで完熟させてから収穫します。ブドウの果梗を取り除く「徐梗」や、つぶす作業の「破砕」をせずに、全房圧搾し、桶をつかった高温での発酵など、昔からの伝統的技術を守っているのです。

ロマネ・コンティの価格

ロマネ・コンティの価格は?

ロマネ・コンティが高額ということは皆さんご存知だと思いますが、一体今現在いくらだと思いますか? ワイン1本だから高いと言っても、数十万円くらいじゃないの? と思いませんか!?

なんと、Amazonの最安値で、DRCロマネ・コンティ1972年が1,280,000円(2019年8月25日時点)でした。最安値でワイン1本750mlが100万円超なのです!

古いワインだから高いのでは? と思うかも知れませんが、2014年のロマネ・コンティは2,280,000円(世界の名酒事典2019年版より)なので、1972年のものよりさらに100万円も高いのです。

ちなみに約40年前の1978年時は、1971年のロマネ・コンティが5万円で販売されていました。今は1本200万円以上するものが多いため、じつに40倍も価格が上がっているのです! 40年間で物価が上昇していることを考慮しても、その値段の跳ね上がりっぷりには仰天してしまいますね。

次に、正規輸入品と並行輸入品の違いをご説明します。

【正規輸入品】

日本では、1970年代の古いヴィンテージは高島屋、1980年代後半から2002年まではサントリー、そして2003年以降からは、サントリーを親会社に持つ、株式会社ファインズが「正規輸入品」になります。ワインを輸入する際に低温度に管理された100%リーファーコンテナ(冷蔵・冷凍貨物用コンテナ)で輸能力送をおこなうため、品質が落ちることがなくワインそのものの味を保ったまま輸入することができるのです。

ワインボトルの裏のラベルに「ファインズ」(高島屋、サントリー) のシールが貼ってあれば正規輸入品です。

【並行輸入品】

ヴィンテージによって異なりますが、株式会社ファインズ、高島屋、サントリー「以外」の会社が輸入したワイン「ロマネ・コンティ」のことです。輸入する際にコスト削減のためにリーファーコンテナを使用せず、通常のコンテナで輸送をおこなっていたり、常温以上の環境下で保存されている可能性があります。偽物のロマネ・コンティも多く出回ってます。

正規輸入品より並行輸入品のほうが安いから! なんて思わずに、せっかく高額の代金を支払うのであれば、確実に安心できる品質の正規輸入品で購入したほうがいいですね。

 ロマネ・コンティが高価な理由

ブルゴーニュ地方にコート・ドールという地域があり、フランス語で「黄金の丘」を意味します。丘一面に広がるブドウ畑によって黄金色で埋め尽くされることから命名された地名です。コート・ドールの北部がコート・ド・ニュイと呼ばれ、その中にあるのが、ブルゴーニュでも偉大なワインが最も多く生まれ【神に愛された村】といわれるほどワインの生産に恵まれた土地、「ヴォーヌ・ロマネ村」です。

ヴォーヌ・ロマネ村には、最高級の特級畑であるグラン・クリュ(うち2つはフラジェ・エシェゾー村)が8つあり、その中の畑の一つが「ロマネ・コンティ」なのです(このロマネ・コンティの畑のブドウで造ったワイン以外をロマネ・コンティと呼ぶことは許されません)。

実際にロマネ・コンティの畑を見学してきましたが、ブドウの樹が164 ㎝の私の胸くらいまでしかなく、そしてピノ・ノワールがとても小粒でした。道を挟んだ隣がロマネ・サン・ヴィヴァンなのですが、とても近い場所にあるのに、小石の大きさなど土壌が違うことにも驚きました。

そして、ロマネ・コンティの畑の大きさは1.8ヘクタールしかありません。1.8ヘクタールの大きさ…パッと頭の中で想像できないですよね。わかりやすく考えるなら、東京ドームが約4.7ヘクタールなので、ロマネ・コンティの畑は東京ドームの約三分の一の小ささしかないのです!

そして、ワインの平均年産はたったの6,000本で、品質は収穫年の作柄に大きく影響するため、順調な年で7,000本程度、不調な年だと4,000本程度しか造ることができません。

世界の196カ国の億万長者たちが欲しがっているのに、供給量は限られています。年間6,000本のワインを196カ国で割ると、1国あたり、約30本しか入ってきません!

すごくないですか? この希少性の高さが、ロマネ・コンティが高額である理由のひとつなのですね。

ロマネ・コンティに近い味わいのワイン

赤ワイン

 ここではロマネ・コンティではないですが、ロマネ・コンティの味わいに近いとされている【ニューワールドのワイン】をご紹介します。

まずは「ニュージーランドのロマネ・コンティ」として有名な【アタ・ランギ】です。

アタ・ランギ・ピノ・ノワール 2016年
Amazon販売価格:8,208円税込(2019年8月25日時点)

お手軽に楽しめるセカンドタイプ
●アタ・ランギ・クリムゾン・ピノ・ノワール 2016年
Amazon販売価格:3,402円税込(2019年8月25日時点)

ニュージーランドはソーヴィニヨン・ブランだけではなく、ピノ・ノワールも有名ですが、何故ロマネ・コンティ? と思いますよね。アタ・ランギがロマネ・コンティと呼ばれる理由をご説明いたします。

1970年代半ば、ニュージーランドのオークランド空港で税関職員をしていたマルコムス・エイベル氏は、ある日フランス旅行から帰国した客の手荷物から、ブドウの樹の枝を発見します。聞いてみると、なんとそれは 「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ」の畑から取ってきたピノ・ノワールの枝だったのです。エイベル氏はこれを没収し、自身もブドウの栽培、ワイン造りをしていたため、この枝を自分の畑に植えてしまいます。そしてアタ・ランギの生産者であるクライヴ・パットン氏がエイベル氏のワイン造りを手伝い、その見返りとして枝をもらい受けたというのです。

現在、アタ・ランギで栽培されているピノ・ノワールのほとんどにこのロマネ・コンティの苗木であるエイベルクローンが使われています。

続きまして、ワイン好きの間で高い人気を誇る「カルフォルニアのロマネ・コンティ」【カレラ】です。漫画「ソムリエ」でロマネ・コンティとして間違えられたエピソードがあり、日本でも大ブレイクしたワインです。

●カレラ・ジェンセン・ピノ・ノワール 2012年
Amazon販売価格:19,224円税込(2019年8月25日時点)

お手頃に体感できるスタンダード・キュヴェ
●カレラ・セントラル・コースト・ピノ・ノワール 2014年
Amazon販売価格:3,947円税込(2019年8月25日時点)

カレラのオーナーであるジョシュ・ジェンセン氏は、偶然飲んだブルゴーニュのワインの魅力にはまり、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティやドメーヌ・デュジャックで働きます。その後、母国アメリカでロマネ・コンティの味わいに近いワインを造るために帰国。NASAの人工衛星の資料をもとに2年ほどの歳月をかけ探し回った結果、ブルゴーニュと同じ石灰質土壌の土地をもつ、モントレーのマウント・ハーランの山頂を探し出しました。

ピノ・ノワールへの情熱が凄まじいですよね。それも密かに持ち込んだロマネ・コンティの苗木を植えたというエピソードもあります。

 1本数百万円のワインは気軽に購入できなくても、ニュージーランドやアメリカのロマネ・コンティなら手が届くのでは。気になる方は是非一度試してみてくださいね。

また、東京のバーやワインショップで10ml 18,000円程度でロマネ・コンティをテイスティングできるイベントがありますので、「ロマネ・コンティ グラスで飲める店」と検索してみるのも一つの手だと思います。

私自身、ロマネ・コンティの偉大さについて、現地で畑を見て理解が一層深まりましたので、皆さんももしフランス旅行に行く機会がありましたら、ディジョンでレンタカーを借りて、ご自身の五感で素晴らしいロマネ・コンティのブドウ畑を感じてみてください。

参考
■2019 日本ソムリエ協会 教本
■世界の名酒事典 2019年版
■ワイン語辞典
■教養としてのワイン

記事内容は記事作成時点の情報となります。

林 かおり(Hayashi Kaori)
ソムリエ林 かおり(Hayashi Kaori)

J.S.A.ソムリエ、調理師、食生活アドバイザー2.3級を取得。旅行コンサルタント会社で旅館ホテルなどへの飲料提案を行う。現在は都内フレンチでソムリエとして活躍中。