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リースリングとは? 白ワインの代表品種をソムリエが徹底解説

リースリング ぶどう

暑い日が続くと、キリッと冷えた白ワインが飲みたくなりますね。白ワインにもたくさんのぶどう品種がありますが、今回は老若男女問わず不動の人気を誇る「リースリング」をご紹介いたします。

リースリングとは?

リースリングは白ワイン用のぶどう品種で、辛口から甘口まで、幅広い味わいのワインがこの品種から造られます。しっかりとした果実味と、白桃やライチのようなフルーティで強いアロマが特徴で、地域や熟成年数によっては石油(ペトロール香)やミネラルなどを思わせるタイプのものもあります。

他のぶどうと比べると寒さに強いため、冷涼な気候の地域でもクオリティの高いぶどうができるので、世界中で広く栽培されています。とくにドイツ国内で最も多く栽培されており、ドイツに次いでフランスのアルザス地方が有名です。今ではアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどでも作られており、また、地域によってはラインリースリング、ヴァイサーリースリング、ホワイトリースリング、ヨハネスブルクリースリングなどの多くのシノニム(別名)を持っています。

このように、味わい、アロマ、生産地、名前が多岐に渡るため、リースリングと一口に言っても、生産地や熟成年数によって全く違う一面を感じることができます。

リースリングの特徴

ぶどうの特徴

リースリングは房が小ぶりで粒は小さめ、色は淡い緑色から黄金色、完熟すると赤茶色の斑点が出てきます。寒さに強く冷涼な気候でも育ち、水はけのいい土壌に適しています。そのため、ドイツやフランスのアルザスといった、寒い地域で育ったリースリングが有名です。暖かい気候でもリースリングの栽培は可能ですが、リースリング特有の独特のアロマや際立った酸味などの特徴は控え目になります。

リースリングで造られたワインの特徴

味わいとしてはキリッとした際立った酸が特徴で、口にすると口角がキュッと上がるような酸味があります。冷涼な気候で育ったからこそ感じられる独特の味わいが、幅広く人気を集めています。ボディは軽いものからどっしりとしたミネラル感のある重厚感があるものまで差があるのが特徴的です。

また、リースリングは酸のしっかりとした熟成能力の高いぶどう品種で、ドライな辛口のタイプから遅摘みワインやアイスワインなどの甘口まで幅広く造られています。レモンやライム、白桃といった爽やかで瑞々しく繊細なフルーツの香りや、スイカズラ、菩提樹などの植物の香り、小石や塩気などの味わいが感じられます。産地によっては果実味や花の香りよりも強いミネラル感が際立ち、数年熟成されたリースリングは石油(ペトロール香)や火打石といった目立った特徴があります。

リースリングの繊細な味わいを活かすため、他の品種に比べるとその多くがアルコール度数がやや低めに造られています。そのため飲み口が優しく、お酒があまり得意でない方や、女性にも親しみやすい味わいと言えます。長期熟成も可能なポテンシャルの高いリースリングは、ワイン好きの方にも非常に魅力的です。

※おまけ情報 お店でリースリングを見つけた時に辛口のタイプなのか甘口のタイプなのか判別するのが難しい時は、「アルコール度数」に注目してみましょう。アルコール度数が「9%以下」の場合は甘口寄りと考えて良いと思います。参考にしてみてください。

リースリングの産地

世界で最もリースリングが栽培されている国はドイツです。中でもドイツの「モーゼル」と「ラインガウ」が二大産地として知られています。冷涼なモーゼルでは繊細な味わいとなり、ラインガウでは果実味が全面に出てくる傾向にあります。

またフランスのアルザスでは、辛口のリースリングワインが造られています。ドイツワインと指向が異なったミネラルと果実味、それらに複雑さを与える酸味をもったワインとなり、ファンもとても多いワインです。

リースリングと言えば「ドイツ」と「フランス アルザス」! と覚えている方も多いと思いますが、近年では世界中の比較的冷涼な土地で広く栽培されており、栽培地はクロアチアやチェコといった中欧、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、南アフリカ、中国、ウクライナ、アメリカ、そして近年では日本でも栽培されています。

リースリングに合う料理

リースリングに合う料理

先述したように、リースリングと言っても幅広い味わいと香りの違いがあるので、3つのタイプに分けておすすめしてみたいと思います。

甘口のリースリング

インド料理やタイ料理など、スパイシーで香辛料をたっぷり使ったエスニック料理と好相性です。また、焼き鳥や鰻の蒲焼きといった和食の「たれ」と合わせてみるのも面白いです。りんごのジャムとブルーチーズを乗せたブルスケッタのような前菜とも合いますし、食後のデザートワイン感覚で飲むのもおすすめです。意外とたくさんのペアリングが楽しめます。

辛口のリースリング

酸味がしっかりあるので、軽めのオイリーな料理と合わせてみましょう。例えば、鴨のコンフィやアスパラのベーコン巻き、野菜を使った天ぷら、それから、鯵や鰯などの青魚を使ったエスカベッシェなど、酢を使った甘酸っぱい料理や、白身魚のハーブソテーとも相性が良いです。

香りが強いアロマティックなタイプのリースリング

キウイやイチジク、リンゴなどのフルーツを生ハムで巻いたインボルティーニと合わせると、口の中で果実味と酸味が絶妙にマッチしておいしいです。お好みで少し蜂蜜を垂らしても。また、白桃とモッツァレラのカプレーゼといったさっぱりした甘味のある前菜と合わせるのも良いと思います。リースリングの鼻に抜ける華やかなアロマをフルーティな前菜に合わせてみて下さい。

リースリングのおすすめワイン

今回は個人的なオススメを2本、ご紹介します。

HUGEL ヒューゲル クラシック リースリング 750ml (フランス アルザス)

13世代にわたり、世界最高峰のリースリングを作り続けるフランス アルザス地方にあるヒューゲル家で作られたリースリング100%の白ワインです。キュッとした酸とわずかに感じられるペトロール香が心地良いです。こちらはソムリエ二次試験対策として飲んでいたのですが、リースリングの特徴がしっかり出ていて、勉強として飲む「テイスティング力」を高めたい方にもおすすめできる一本です。

SWALLOW スワロー リースリング 750ml(アメリカ オレゴン州)

アメリカのリースリングと言えばワシントンやニューヨーク州が有名ですが、西海岸のカリフォルニアの上、オレゴン州でも作られています。

フルーティな果実味で白桃のようなアロマ。飲み口が柔らかくてアルコール度数も低めです。さらに価格もリーズナブルでデイリーに楽しむにはもってこいの一本だと思います。こちらは以前勤めていたお店でサーブしていたのですが、お客様からの評価が非常に良く、特に女性からの人気が高く、根強い人気がありました。ぜひ一度飲んでみて下さい(余談ですが、このシリーズ、「ゲヴェルツトラミネール」という品種も出しています。そちらもコスパが非常に高くおすすめです)。

いかがでしたでしょうか。王道のシャルドネ、ソーヴィニヨンブランだけでなく、リースリングも非常に人気のあるぶどう品種です。是非この機会に、様々な国で作られているリースリングを楽しんでみてください。

記事内容は記事作成時点の情報となります。

ソムリエ吉川 大智(Yoshikawa Daichi)
ソムリエ吉川大智(よしかわだいち)

世界40ヶ国200都市の酒場とワイナリーを旅した元バーテンダー。
ワインバーのマネージャーを経て、現在多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。JSA認定ソムリエ。
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