ポートワインとは? その特徴や楽しみ方をソムリエが解説!

皆さんは「デザートワイン」を飲んだことはありますか? ワインと料理をフルコースで楽しんだ後に、デザートやチーズに合わせて出てくることが多いワインのことですが、まだまだ意外と知られていません。今回はこのデザートワインの種類のひとつ、「ポートワイン」について詳しく解説していきます。この記事を読んだら貴方も飲みたくなってくるはず!

ポートワインってどんなワイン?

ポートワインとは、デザートワインの一種で、一般的には「酒精強化ワイン」と呼ばれています。酒精強化ワインとは、蒸留酒を加えて保存性を高めたワインで、その多くがぶどうから作られる癖のないブランデーを加えて作られます。ポートワインの場合は全体の約3割が蒸留酒で、アルコール度数も20%前後と、酒精強化ワインの中でも高めです。発祥の由来は諸説ありますが、輸出入する際に空路でなく海路を使っていた頃、航海の途中でスティルワイン(非発泡性ワイン)の状態が悪くなってしまうために、長期の貯蔵に耐えられるようなワインにする必要があり、蒸留酒を加えた、というのが一般的なようです。

「ポートワインはデザートワインの一種」と前述しましたが、デザートワインにもたくさんの種類があるので、ここでは簡単に説明していきます。

デザートワインの種類

●酒精強化ワイン(Fortified wine)

醸造中のワインの糖分が全て発酵する前に蒸留酒を加え、発酵を止めて保存性を高めたワイン。

●遅摘みワイン(Late-Harvest wine)

ぶどうの収穫時期を遅らせて、糖度が最も高くなったタイミングで収穫されたぶどうから作られるワイン。

●干しぶどうワイン(Dried grape wine)

イタリアでは「パッシート」と呼ばれ、水分の70%が蒸発するまで干したぶどうから作られるワイン。

●アイスワイン(Ice wine/Eiswein)

寒さで氷結したぶどうを収穫し、ぶどうが溶け出す前に圧搾することにより出来上がるワイン。

●貴腐ワイン(Noble rot wine)

ぶどうに付着した貴腐菌(ボトリティス・シネレア菌)によって、萎れて糖度が高くなったぶどうから作られるワイン。

と、デザートワインにも様々な製法があります。この中でもポートワインは、酒精強化ワイン(Fortified wine)に分類されます。酒精強化ワインはポートワイン(Port wine)の他にも、マディラ(Madeira)、マルサラ(Marsala)、シェリー(Sherry)と細かく分類されていくのですが、今回はポートワインを取り上げます。

ポートワインの特徴

ポートワインは、ポルトガル北部のポルト港から出荷される特産の酒精強化ワインです。糖分が残っている発酵途中にブランデーを加えて酵母の動きを止める製法が最大の特徴で、これにより、ポートワインならではの甘みとコクが出ます。また、蒸留酒を加えているためにアルコール度数は20度前後と高くなるので、保存性にも優れています。また、熟成する地域が指定されていて、ポルト市内にある「ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア」で熟成が行われていなければポートワインという名称を名乗れないという厳しい規約があります。

ポートワインの種類

ポートワインには様々な種類があるのですが、まずは大きく分けると

  1.  ルビーポート 
  2.  トウニーポート 
  3.  ホワイトポート

と3つに分類することができます。

これは色で見分けることができます。ルビーは赤、ホワイトは白、トウニーは、tawny = 黄褐色をしています。

1. ルビーポート

鮮やかなルビー色でポートワインの中での定番です。

力強い味わいとフルーティーな香りが特徴で、製造過程で空気との接触を避けるため、極力酸素と接触しないようにバルセイロという大樽やステンレスタンクを使用して熟成させます。ブラックベリーのような甘酸っぱい果実の香り、味わいにはイチジクのコンポートのような濃縮した果実味とアロマがあります。比較的酸化に強いポートワインですが、ルビーポートを抜栓した後はできるだけ2週間を目安に飲みきってください。

2. トウニーポート

ルビーポートよりも色が濃く、長期間の樽熟成によって徐々に薄く、褐色になります。 4~6年の樽熟成の後に瓶詰めされた場合、グラスに入れて透かすと澄み切ったオレンジ色をしています。 酸化熟成させるために小型の樽を使い、酸素との接触面積が多くなるようにします。味わいはルビーポートよりマイルドで比較的飲みやすいタイプが多いようです。ジャムのような果実味と香辛料、紅茶などのフレーバーも感じることができます。また、抜栓した後も1カ月程品質を保てるので、ご自宅に一本用意するのであればトウニーポートがおすすめです。

3. ホワイトポート

白ワイン系のポートワインで、ルビーポートと同様、ステンレスタンクにて4年間熟成させます。色調は琥珀色で、ハチミツのような甘いアロマが感じられ、さらっとした口当たりで、酸味と甘みがバランスよくまとまっています。前述のルビーやトウニーと同じアルコール度は19.5と、一般的なワインより高いアルコール度数ですが、爽やかな口当たりなので、食後酒はもちろんですが、食前酒としてもおすすめのポートワインです。ルビーポート同様あまり劣化に強くはないため、抜栓後は2週間を目安に飲みきっていただくことをおすすめします。

ポートワインの楽しみ方

ポートワインは「食後酒」として、デザートやチーズ、アイスクリーム、チョコレートなどに合わせゆっくり食後に飲むのが至高の楽しみ方と言えるでしょう。食事で満腹だったとしても、甘くてコクのあるポートワインをすっと口に入れると、不思議とお腹の中が落ち着いてきます。

合わせるものは、チーズならスティルトンやゴルゴンゾーラといったブルーチーズ、チョコレートならカカオが多く含まれているダークチョコレートがおすすめです。デザートであればフォンダンショコラやガトーショコラとの相性が良いでしょう。

また、食事と合わせるだけでなく、単純に日頃の疲れを癒す飲み物としていただく、または寝る前に「寝酒」として夜を楽しむ、というのもオシャレでいいですね。

おすすめのポートワイン

デザートワイン、酒精強化ワイン、ポートワインと様々な説明をしてきましたが、筆者がまず飲んで欲しいと思うルビーポートワインはこちらです!

テイラーズ レイト・ボトルド・ヴィンテージ


ポートワインで一番の有名どころ「TAYLOR’s」。かつて私もポルトガルを旅行した時に、こちらのワイナリーを訪問しました。日本語ガイドの資料もあるのでポルトガルに行った際には是非……。

もちろん優れたぶどうのみを使用して長期間熟成させたヴィンテージポートもお勧めなのですが、やはり値段もお高めで手が出にくいのが難点です。対してレイト・ボトルド・ヴィンテージは、ヴィンテージポートに次ぐ品質のぶどうを原料として作られるポートワインなので、値段が比較的手頃です。個人的にはレイト・ボトルド・ヴィンテージでも十分に甘味とコクがあって美味しいのでおすすめします。

こちらを飲んでさらに気になったら、トウニーポートやホワイトポートもたくさんの種類があるので、ぜひ試してみてください。

記事内容は記事作成時点の情報となります。

ソムリエ吉川 大智(Yoshikawa Daichi)
ソムリエ吉川 大智(Yoshikawa Daichi)

世界中のワイナリーとワインバーを渡り歩いた飲兵衛な旅人。延べ40カ国200都市以上を訪問。ワインバーの店長を経て、現在はバイリンガルのエンジニアとして勤務。