イタリアソムリエ養成コース体験記、第2弾!
今回は、到着の様子、Livello 1(レベル1)の講義内容、そして休日に訪れたヴェネツィア・カーニバルの様子をお伝えいたします。
POINT
到着からスタートまで
空港到着からアパートメントへ
羽田空港からドイツ・フランクフルトで乗り換え、無事にフィレンツェの空港に到着! ちなみに、フィレンツェの英語の発音は「フローレンス」で、トランジットの時の案内で戸惑ったりするのでお気をつけください。
ここからスクールがある街へは現地のバスが出ていたので、私はバスで向かいました(※別料金で、スクールから送迎車も頼めます)。
事前に到着時間を伝えていたので、日本人の現地スタッフさんが待っていてくださり、滞在先となるホテルにチェックイン。そこで分厚い資料とワイングラスセットをいただきました。
立地は?
スクール&ホテルがあるのは、トスカーナ州の州都フィレンツェから電車で約1時間のモンテカティーニ・テルメという街です。「テルメ」が「温泉」という意味で、実はイタリアの温泉街なのです。温泉と言っても日本のように裸で入るわけではなく、水着で入ったり、飲んだりするようです。私はトライしませんでしたが、別の受講生に聞いたところ、飲んだら快腸になったらしい…。
確か上の写真が温泉施設。この日は閉まっておりましたが…。
リゾート地らしく、広々とした景観ですが、観光シーズンは夏らしく、冬のこの時期は閑散としており、ホテルはほぼクローズ。しかし、初日は昼過ぎに着いたので周りを散策してみました!
蚤の市のようなものがやっていたり…
街中に急にメリーゴーランドが出現したり…
季節限定なのかな? アイススケートが路上でできたり…
さすがイタリア! ガチャガチャがピザの形! …と、ひとしきり楽しみました。
講座スタート
講義の形式
いよいよイタリアでの講義がスタートです!
講座の内容はLivello 1でソムリエの基礎知識、Livello 2で各生産地を学び、Livello 3で料理とワインの合わせ方を習得して、全部で約1カ月間。授業は午前と午後の1日2回、3~4時間。座学+3種類のテイスティングを行います。
宿泊していたホテル近くの別のホテルの会議室にて講義が行われ、初回の参加者は5名でした。先生はイタリア人で通訳さんがついて、すべての講義をその場で通訳してくれます。こちらからの質問も、全て通訳してくれます。
午前の授業が終わったら、一旦アパートメントに戻って、個々にランチを取ったり、復習したり、昼寝したり。午後の授業の時間になったら、またホテルに行って、座学+テイスティング3種類。1日合計6種類のワインをテイスティングして、だいたい17時くらいに1日の講義が終了します。
Livello 1の講義「ソムリエとしての基本知識・サービスの仕方・テイスティング」
Livello 1の講義内容はこちら!
1. ソムリエの役割・重要性
・イタリアソムリエ協会のコースについて説明
・ソムリエの本質とレストラン業界における役割
・タストヴァン、テイスティンググラス、その他ソムリエの備品
・サービス実習のデモンストレーション
・テイスティングについて
《実習例》3種類のワインの紹介(うち1種はクラシコ法スプマンテ)
2. ブドウ栽培
・ブドウの木:世界の中での発達および普及状況
・植物学上のブドウの生育サイクル
・栽培設備、剪定、収穫
・主要ブドウ品種
・ブドウ栽培とワインクオリティー
《実習例》3種類のワインテイスティング(州によるセレクション)
3. ワイン醸造法 ―― ワインの製造
・ブドウの果実と果汁
・ワインの酒製造システム
《実習例》白ワイン1種、ロゼワイン1種、赤ワイン1種のテイスティング
4. ワイン醸造法 ――ワインの構成要素
・ワインの構成要素とその味の特徴
・ワインを安定させるための作業
・熟成と滓引きについて
・品質の変化、欠陥・病気について
《実習例》 赤ワイン。年代の若いもの・古いものを1種類ずつ飲み比べる(同種ワインの年代比較)
5. テイスティングのテクニック ――視覚による分析
・見た目による分析
・テイスティングを行うための条件
・A.I.S方式テイスティング、及び用語を使っての表現
《実習例》 白ワイン2種(発泡性&若いタイプ、熟成したもの)、スプマンテを各1種飲み比べる
6. テイスティングのテクニック ――嗅覚による分析
・香りによるワインの分析方法
・香りの分類
・A.I.S方式テイスティング、及び用語を使っての表現
《実習例》 香りの高いワイン、赤ワイン(若いタイプ、熟成タイプ)を各1種
7. テイスティングのテクニック ――味覚による分析
・味覚による分析方法について
・口の中での味わいについて、触感と味と香りについて
・A.I.S方式テイスティング、及び用語を使っての表現
《実習例》 水とグリセリン・砂糖・アルコール・エチル基・クエン酸・酒石酸・塩・タンニンを混ぜ合わせ、「まろやかさ」と「硬さ」を実験する。
A.I.S.コースより推薦ワインのテイスティング。
8. ワイン醸造について ――スプマンテ
・イタリアだけではなく世界的にも有名で重要な醸造法でもある「クラシコ法」の特徴を学ぶ。
・マルティノッティ(シャルマー)法の特徴を学ぶ。
《実習例》 クラシコ法・シャルマー法にて造られたスプマンテ(辛口・甘口)を各1種
9. ワイン醸造について ――パッシート
・パッシートワイン、遅摘みワイン、貴腐ワイン、アイスワイン、ヴィーノ・リクオローゾ、混成ワインなどについて。
《実習例》パッシートワイン、貴腐ワイン又はアイスワイン、リクオローゾ(甘口)を各1種
10. ワインの法律と表示・イタリア国内の産地
・ワインの分類について:VDT, IGT, DOC, DOCG等
・EU内の一般的な法律について
・ラベルの読み方
・主な栽培ブドウ品種(原産のものインターナショナルなもの)
《実習例》VDT/IGT、DOC、DOCGのワインを各1種
11. ビール・穀物からの蒸留酒
・ビール:生産、種類、その分類
・蒸留、穀物の蒸留酒(ウォッカ、ウィスキ−、ジン)
《実習例》ビール(一般的なもの、赤、修道院ビール)を各1種
12. その他の蒸留酒
・蒸留法の違い、分類
・リキュールの分類
《実習例》蒸留酒(穀物のもの、ワインからできたもの)各1種
13. ソムリエの役割
・レストランのカンティーナ管理
・ワインリストについて
・通常のサービス内容について
《実習例》3種類それぞれ特徴の違うワイン
長い、多い…この内容を10日間ですべて詰め込みます!
日本でソムリエ資格を取得した後でしたら楽しめる内容ですが、ワイン1年生の私にとってはすべてが「??」でした。そして、私の感覚ですが、日本のソムリエ受験用のワインスクールの内容よりも濃い…。
例えば醸造についても、醸しの日数まで覚えるし、甘口ワインならば酸化させるのかさせないのか、その場合の醸造方法の違いも学びます。それぞれの酸が何グラム入っているかや、リエビト(酵母)の働きや、二酸化イオンの働きなどの説明に、文系の私にはさらに「???」となっておりました。
テイスティングでは抜栓・サービスの練習もします!
このような感じで、1日中知識の詰め込みに追われて10日間が経過しましたー!
Livello 2については、また次回に!
休暇編 ヴェネツィア・カーニバル!
授業は主に平日のみなので、週末はお休み! なので、休暇を利用してヴェネツィア・カーニバルに行ってきました!
開催は2月後半から3月あたまの2週間。豪華な衣装に身を飾った人たちが溢れておりました!
ヴェネツィアまでのアクセス
モンテカティーニ・テルメからヴェネツィアまではだいたい3時間。モンテカティーニ・テルメからフィレンツェに普通の電車で約1時間、フィレンツェから事前に予約した指定席の電車に乗って約2時間でヴェネツィアに到着します。なので日帰りで行けちゃうんです!
カーニバルに行ってみた!
駅降りてからはたくさんの人、人、人、仮装、仮装、仮装! どこの貴族さんですか? どちらの魔女さんですか? って人たちで溢れております。
雑貨屋さんには簡単なお面も売っているので、それを購入してなんとなく気分を味わうことも可能です。
ヴェネツィアらしいゴンドラはこの日も運行中。
最終日には仮装コンテンストが行われるため、皆さん趣向を凝らした仮装をされていらっしゃいました。あまりにたくさんの素敵な仮装がいらっしゃったので、すべては載せきれないのですが、私が個人的に素敵と思った方々をご紹介いたします!
個人的に最もときめいた、イケメン鳥人間3人衆。
迫力たっぷり! 花人間!!!
紫のおばさま…
やっぱり、顔が全面隠れていると、なんかちょっと怖い…。
もう、なんなのかわからないこの仮装!
いかがでしたでしょうか? こちらは、ほんの一部です。
もし2月末にイタリアに行く機会があれば、ぜひヴェネツィアにも行ってみてください!
■参考
Associazione Italiana Sommelier japan
記事内容は記事作成時点の情報となります。
フリーランスソムリエ。
株式会社リクルートのゼクシィで営業を経験後、もっと海外を見たいと想い7ヶ月世界一周の旅へ。各国でワインが日常的に飲まれているのを目の当たりにし、もっと日本でもワインが身近になって欲しいと思い、ワインに携わる仕事をしようと決意して帰国。その後、AIS認定イタリアソムリエ養成コースをイタリアにて受講。インポーター、ワインスクールに勤務後、現在はフリーでワインバー、ワインイベントなどを開催している。JSAソムリエ保有。